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北大フロンティア入試は狙い目なのか? ②

前回の記事では、北海道大学のフロンティア入試について、2027年度の志願状況と第1次選考結果を分析した。

→ 北大フロンティア入試は狙い目なのか?① 志願倍率と第1次選考の結果を分析

第1次選考では、志願者全員が通過する学科がある一方、大半が不合格となる学部もあった。

では、最終的には何人が合格しているのだろうか。

今回は2022~2026年度の5年間の最終合格実績を検証する。さらに、2026年度の選考過程を学科別に比較し、フロンティア入試が本当に「狙い目」なのかを考えたい。

※2027年度の最終合格者は、2026年11月時点では確定していない。本記事では2026年度までの実績を使用する。募集人員や選考方法は年度によって変更される。

フロンティア入試では、毎年何人が最終合格している?

まず、2022~2026年度の結果を確認する。

年度募集人員志願者数最終合格者数
202214431878
202314436583
202414435283
202514438283
2026135317106

2022~2025年度は毎年144人を募集していたが、最終合格者は78~83人にとどまった。

2026年度には106人まで増加したものの、募集135人を29人下回っている。

5年間の募集人員は延べ711人、最終合格者は延べ433人だった。

北大のフロンティア入試では、募集人員を満たすまで合格者を出しているわけではない。

なお、充足しなかった募集枠は一般選抜に振り替えられる場合がある。募集人員と最終合格者数の差が、そのまま北大全体の入学定員の欠員になるわけではない。

北海道大学・過去の入試データ(2022~2026年度)

TypeⅠとTypeⅡでは、最終合格者数が大きく異なる

募集人員と最終合格者数をType別に比較すると、その違いは明確である。

年度TypeⅠ 募集/合格TypeⅡ 募集/合格
202278/1666/62
202378/1966/64
202478/2766/56
202578/2366/60
202669/4366/63

TypeⅡでは、多くの年度で募集人員に近い数の合格者を出している。

これに対し、TypeⅠは2022~2025年度の4年間、募集78人に対して最終合格者が16~27人だった。

2026年度には43人まで増えたが、募集69人には届いていない。

両者は選考方法も志願者の構成も異なるため、この差をそのまま入試の難易度差と考えるのは適切ではない。

それでも、募集人員に対する最終合格者数の傾向は、TypeⅠとTypeⅡで大きく異なることが分かる。

2026年度は、何人が各選考を通過した?

ここからは、最新の確定実績である2026年度を詳しく見ていこう。

区分志願者第1次通過第2次合格最終合格
TypeⅠ1271036343
TypeⅡ1901816363
合計317284126106

TypeⅠでは、第1次選考を通過した103人のうち、第2次選考の合格者は63人、最終合格者は43人だった。

TypeⅡは第1次選考通過者181人に対し、第2次選考合格者が63人。この63人が最終合格者となっている。

TypeⅠでは、第2次選考の後にも共通テストの成績などを踏まえた最終判定がある。両Typeの数字を比較する際には、この仕組みの違いが重要になる。

北海道大学・2026年度入学試験実施状況表(PDF・4ページ目)

TypeⅠの学科別選考結果

まず、TypeⅠの募集単位ごとに、志願から最終合格までの人数を整理する。

学科・コース募集志願1次通過2次合格最終合格
理・地球惑星科学5171155
医・医学科5101053
医・看護学75222
医・放射線技術科学76552
医・検査技術科学57555
医・理学療法学411842
医・作業療法学31111
歯学部57553
工・応用マテリアル4121075
工・社会基盤46642
水産学部2045402013
合計691271036343

※学科・コース名は一部省略。北大が公表した第1次・第2次選考合格者数を記載している。

この表から、いくつかの特徴が見えてくる。

① 定員割れでも、不合格者が出ている

医学部看護学専攻では募集7人に対し、志願者は5人だった。

第1次選考で2人まで絞られ、その2人が最終合格している。

放射線技術科学専攻も募集7人に対して志願6人だったが、最終合格者は2人である。

募集人員を下回る志願者数でも、全員が合格するわけではない。

② 第2次選考合格後も、不合格者が出ている

医学部医学科では、第2次選考の合格者5人に対して最終合格者は3人だった。

水産学部も第2次選考合格者20人から、最終合格者は13人となった。

TypeⅠでは、第2次選考を通過した後も、共通テストの成績などによる最終判定が残っている。

③ 第2次選考で募集人員を超える合格者を出す場合もある

工学部応用マテリアル工学コースは、募集4人に対して第2次選考合格者が7人、最終合格者が5人だった。

最終合格者数が募集人員を上回ることもある。

つまり、募集人員と実際の合格者数が必ず一致するわけではない。

TypeⅠの過去5年間の実績は?

2026年度だけでなく、学科別の推移も確認しよう。

学科・コース20222023202420252026
理・地球惑星科学42435
医・医学科00113
医・看護学31202
医・放射線技術科学20012
医・検査技術科学00105
医・理学療法学02222
医・作業療法学01021
歯学部11213
工・応用マテリアル―0225
工・社会基盤01222
水産学部61111913
合計1619272343

※最終合格者数。学科・コース名は一部省略。「―」は当該年度に志願者がいなかったことを示す。

特に目を引くのが、医学部医学科である。

毎年5人を募集しているが、2022年度と2023年度は最終合格者がゼロだった。

2024年度と2025年度は1人ずつ、2026年度は3人である。

5年間の募集人員延べ25人に対し、最終合格者は延べ5人だった。

また、医学部検査技術科学専攻は2022~2025年度の4年間で最終合格者が延べ1人だったのに対し、2026年度には5人が合格している。

TypeⅠでは、募集人員に達しない学科が多いだけでなく、年度によって結果が大きく変わる場合もある。

TypeⅡの学科別選考結果

続いて、TypeⅡの2026年度の選考過程を見てみよう。

学科・コース募集志願1次通過2次合格=最終合格
理・数学科13494914
理・物理学科14191910
理・化学科11292911
理・高分子機能学3973
工・応用物理工学15403915
工・機械知能工学521155
工・環境工学523235
合計6619018163

TypeⅡでは、理学部数学科・物理学科・化学科の志願者全員が第1次選考を通過している。

工学部機械知能工学科では、志願21人から第1次選考で15人に絞られた。

学科によって第1次選考の役割は異なるものの、最終合格者数は募集人員に近い学科が多い。

TypeⅡの過去5年間の実績

学科・コース20222023202420252026
理・数学科1313131314
理・物理学科101411810
理・化学科1111111111
理・高分子機能学31133
工・応用物理工学1515151515
工・機械知能工学55555
工・環境工学55055
合計6264566063

TypeⅡでは、理学部化学科が5年連続で11人、工学部応用物理工学コースが5年連続で15人の最終合格者を出している。

一方、理学部物理学科は2025年度に8人、2026年度に10人と、募集14人を下回った。

工学部環境工学コースでは2024年度の最終合格者がゼロだった。

TypeⅠほど大きな不足が続いているわけではないが、TypeⅡでも学科・年度による違いは存在する。

TypeⅠは共通テスト65%で北大に入れる?

工学部応用マテリアル工学コースを例に考えてみよう。

2027年度の同コースでは、共通テストの数学200点、理科400点、外国語200点の計800点を最終判定に利用する。

大学の募集要項では、520点程度を最終合格者の判定に用いる目安として示している。

800点満点の520点は、得点率65%である。

これだけを見ると、一般選抜より少ない得点で北大に合格できるようにも思える。

しかし、520点程度という数字は、実際の合格最低点や合格者平均点ではない。

また、この段階に進むためには、書類選考と課題論文・面接等を通過する必要がある。

むしろ注目したいのは、評価される科目の違いである。

同コースでは、共通テストの数学・理科・外国語を利用する。国語や地歴公民なども課される一般選抜とは、評価される科目が異なる。

数学・理科などに強みがあり、ほかの教科との得点差が大きい生徒にとっては、一般選抜とは異なる合格機会になり得る。

重要なのは「65%で北大に入れる」ということではなく、「どの科目で評価されるか」という違いである。

また、予備校が公表する一般選抜の共通テストボーダー得点率は、合格可能性を予測した数値である。大学が示すフロンティア入試の判定目安とは性質が異なり、単純に比較できるものではない。

獣医学部では80%が基準

2027年度にフロンティア入試を新設した獣医学部では、共通テストの数学200点、理科200点、外国語200点の計600点を利用する。

大学の資料では480点以上を最終合格の基準としており、得点率に換算すると80%である。

同じTypeⅠでも、学科によって科目配点や最終判定の基準が異なることが分かる。

北海道大学・2027年度フロンティア入試学生募集要項(PDF)

北海道大学獣医学部・フロンティア入試資料(PDF)

TypeⅡは、共通テストがないから有利?

TypeⅡでは共通テストを利用しない代わりに、大学独自の適性試験や面接・口頭試問が課される。

例えば工学部応用物理工学コースでは、物理の選択問題について、大学の説明資料で一般選抜と同程度の難易度とされている。

重要なのは共通テストの有無そのものではなく、独自試験で問われる数学・理科などの学力が、自分の強みに合っているかという点だろう。

北海道大学・フロンティア入試公式情報・過去問題

一般選抜との両立は可能か?

フロンティア入試への出願を検討する際には、追加対策に必要な時間にも注意したい。

2027年度の選考日程は、次のとおりである。

日程内容
2026年9月9~15日出願期間
10月27日第1次選考結果発表
11月15日第2次選考
12月8日TypeⅡ最終合格発表・TypeⅠ第2次選考結果発表
2027年1月大学入学共通テスト
2月9日TypeⅠ最終合格発表

TypeⅡで不合格になった場合、共通テストまで約1か月しか残されていない。

TypeⅠでは、第2次選考を通過しても、共通テストによる最終判定を待つ必要がある。

そのため、書類作成や課題論文、面接、適性試験の対策を進めながら、一般選抜の準備も続けることになる。

追加対策が一般選抜の勉強を大きく圧迫するなら、出願がかえって不利に働く可能性もある。

結局、北大フロンティア入試は狙い目なのか?

5年間の最終合格実績から見えてくるのは、TypeⅠとTypeⅡの大きな違いである。

TypeⅠでは、募集人員を大幅に下回る最終合格者数が続いている。志願者が募集人員に満たない学科でも不合格者が出ており、低倍率を理由に安易に出願するのは危険だろう。

一方、TypeⅡでは、募集人員に近い数の合格者を出している学科が多い。共通テストを課さない代わりに、大学独自の適性試験などによって受験生の学力や適性を評価している。

では、フロンティア入試にはどのような価値があるのだろうか。

私は、一般選抜では十分に評価されにくい強みを持つ受験生にとって、別の合格可能性を生み出すことが、この制度の大きな魅力だと考える。

数学・理科など特定科目に強みを持つ生徒や、志望分野への適性を課題論文・面接・口頭試問などで示せる生徒にとっては、一般選抜とは異なる方法で評価を受けられる。

もっとも、フロンティア入試への挑戦には相応の準備が必要となる。書類作成や面接、適性試験の対策によって一般選抜の勉強が圧迫されるの

進学教室FiveSchools

2018年に札幌に設立され、小学5年から高校3年まで5教科指導を行う総合進学塾。教科別「クラス授業」、通い放題「FIVE学習会」、1on1「個別指導」を指導の3本柱に常に高い実績を生み出し続ける。北海道の塾ながら、Webを通じて本州、九州、四国、時に海外まで広く塾生を抱えることも特徴。

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