NANAIRO DAYS
2026.11.02
中学校の部活動が、大きな転換期を迎えている。
国は2026年度から2031年度までの6年間を「改革実行期間」と位置づけ、休日の学校部活動を、地域の団体などが運営する仕組みへ転換する方針を示している。
札幌市でも2026年度からモデル事業が拡大し、改革は具体的な実証段階に入った。
現在の部活動はいつまで続くのか。地域クラブに変わると費用や指導者はどうなるのか。
国と札幌市の公表資料をもとに、制度の仕組みと最新の動向を整理する。
すべての部活動が廃止されるわけではない。
国が目指しているのは、まず休日の学校部活動について、学校から地域の団体などへ運営主体を移すことである。
2025年12月に策定された国のガイドラインでは、次のスケジュールが示されている。
| 期間 | 国の方針 |
|---|---|
| 2026~2028年度 | 改革実行期間・前期 |
| 前期終了時 | 中間評価 |
| 2029~2031年度 | 改革実行期間・後期 |
休日については、2031年度までに原則としてすべての学校部活動で地域展開の実現を目指す。
一方、平日については、課題を検証しながら改革を進める方針であり、同じ期限は設定されていない。
また、地域の事情によって移行が難しい場合には、当面、部活動指導員の配置などを進めることも想定されている。
2031年度になれば、全国の中学校から部活動が一斉になくなるという意味ではない。
スポーツ庁・文化庁「部活動改革及び地域クラブ活動の推進等に関する総合的なガイドライン」(PDF)
最大の違いは、誰が活動を運営するかという点である。
| 地域連携 | 地域展開 | |
|---|---|---|
| 運営主体 | 学校 | 地域の団体など |
| 活動の位置づけ | 学校部活動 | 地域クラブ活動 |
| 主な変化 | 外部指導者などが学校を支援 | 活動の運営を地域が担う |
例えば、学校の野球部に外部コーチが来て指導するだけなら、基本的には地域連携である。
一方、地域のスポーツクラブが運営を引き受け、生徒がその活動に参加する形になれば、地域展開に当たる。
地域展開後も学校の体育館やグラウンドを使うことは可能であり、活動場所が必ず学校の外になるわけではない。
主な背景は、少子化と教員の負担である。
生徒数が減少すれば、学校単位では部員が集まらず、チームを組めない競技が増えていく。
また、部活動の指導や休日の大会引率は、教員にとって大きな負担となってきた。競技経験がないにもかかわらず、顧問を担当する教員もいる。
こうした状況を改善するため、学校の枠を超えて生徒が参加できる環境を整え、地域の指導者や施設を活用することが改革の基本的な方向性となっている。
スポーツ庁が公表した札幌市の2024年度実証事業成果報告書によると、同年度の市立中学校における部活動の設置数は、運動部940部、文化部230部の計1,170部だった。
2023年度の1,189部から、19部減少している。
札幌市はこれまで、外部指導者の配置や、希望する部活動が自分の学校にない生徒が他校の活動に参加できる「学校間連携」を進めてきた。
2026年1月の市教委資料では、次の実績が紹介されている。
| 取組 | 公表された実績 |
|---|---|
| 部活動指導員 | 66校・117人 |
| 特別外部指導者 | 42校・54人 |
| 運動部活動の学校間連携 | 55校・179人が利用 |
| 学校間連携の対象 | 13種目 |
これらは主に学校部活動を維持・支援する取組であり、運営主体を地域へ移す地域展開とは異なる。
スポーツ庁・札幌市の2024年度実証事業成果報告書(PDF)
札幌市は2026年度、学校部活動の運営を一定期間、地域団体などに委託するモデル事業を実施する。
市の業務仕様書では、10~15校程度、50~60部活動程度、参加生徒約1,440人を想定している。
事業は二つの方式で行われる。
2026年9月30日付の『北海道通信』は、宮の森中学校など2校をモデル校とし、伏見中学校などを含む計18校・49部活動で実証を行うと報じている。
モデル事業の主な条件は、次のとおりである。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 活動期間 | 対象部活動ごとに4か月間 |
| 活動日 | 平日・休日ともに対象 |
| 参加費 | 従来の部活動費以外は原則追加徴収しない |
| 指導者 | 原則として現在の顧問以外の人材を配置 |
| モデル校の配置目標 | 少なくとも半数以上の部活動で顧問以外の人材を配置 |
| 履行期限 | 2027年3月15日 |
指導者の研修、保険加入、事故への対応、保護者との連絡体制なども仕様書に定められている。
今回の事業は、学校全体で地域展開する場合の運営方法まで検証する点に特徴がある。
なお、仕様書では、4か月間の実証終了後、対象となった活動は学校部活動に戻すこととされている。
したがって、この事業は恒久的な地域移行の完了ではなく、将来の運営体制を検討するための実証である。
札幌市内の各中学校について、移行時期が一律に決まっているわけではない。
現在の学年と国の改革スケジュールを重ねると、次のようになる。
| 2026年度の学年 | 中学校卒業予定 |
|---|---|
| 中学3年生 | 2027年3月 |
| 中学2年生 | 2028年3月 |
| 中学1年生 | 2029年3月 |
| 小学6年生 | 2030年3月 |
| 小学5年生 | 2031年3月 |
現在の中学生も、在学中に休日の活動方法が変わる可能性がある。
ただし、個々の部活動の移行時期は学校や競技によって異なるため、国のスケジュールだけで判断することはできない。
現時点で、札幌市の地域クラブ活動について、全市共通の月額会費が決まっているわけではない。
2026年度のモデル事業では、従来の部活動費以外の追加徴収を原則として行わない。
ただし、これは実証期間中の条件であり、将来も同じ費用水準が維持されるとは限らない。
地域クラブの運営には、指導者への報酬、施設利用料、保険料などが必要となる。これらを誰が負担するのかは、今後の課題である。
国のガイドラインでは、指導者の資質や研修、安全管理、ハラスメント防止などについて方針が示されている。
札幌市のモデル事業でも、指導者の研修、保険加入、事故時の連絡・報告などが委託業務に含まれる。
ただし、仕様書で条件が定められていることと、実際の活動で十分な安全管理が実現していることは別である。
今後は、運営団体や指導者の情報、事故時の責任分担などについても確認が必要になる。
北海道公立高校入試で用いられる内申点は、各学年の教科の評定をもとに計算される。
学校部活動と地域クラブのどちらに所属しているかが、そのまま内申点の計算項目になるわけではない。
一方、自己推薦などでは、志望校の選抜方法によって、スポーツや文化活動の経験・実績を自己アピールに活用できる場合がある。
したがって、内申点の計算と、活動実績が選抜でどのように扱われるかは別の問題である。
具体的な扱いは、志望校の募集要項や選抜方法で確認する必要がある。
入学予定校や在籍校では、次の点を確認しておきたい。
学校側でも予定が確定していない場合には、今後いつ方針が示されるのかを確認するとよい。
国は2031年度までに、休日の学校部活動について原則すべての地域展開を目指している。
札幌市でも2026年度からモデル事業が拡大し、学校全体での地域展開を想定した検証が始まっている。
しかし、期間限定の実証を行うことと、その仕組みを市内全体で継続的に運営することは別である。
指導者や財源の確保、活動機会の維持など、今後も検証すべき課題は多い。
次回は、2031年度までの地域展開は本当に実現するのか、そもそも望ましい部活動とは何なのかについて、FiveSchoolsとしての見解を示したい。
進学教室FiveSchools
2018年に札幌に設立され、小学5年から高校3年まで5教科指導を行う総合進学塾。教科別「クラス授業」、通い放題「FIVE学習会」、1on1「個別指導」を指導の3本柱に常に高い実績を生み出し続ける。北海道の塾ながら、Webを通じて本州、九州、四国、時に海外まで広く塾生を抱えることも特徴。
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