NANAIRO DAYS
2026.11.01
北海道の公立高校入試では、障がいや病気などの事情によって、通常の方法で受検することが難しい生徒に対し、必要に応じて「特別な配慮」が行われる。
例えば、補聴器や拡大鏡の使用、別室での受検、入院先の病院での受検などである。
また、日本語指導が必要な生徒についても、個別の事情に応じた対応が検討される。
北海道教育委員会が公表しているリーフレットをもとに、配慮の内容や申請方法、合否への影響、試験当日の体調不良への対応などを整理する。
なお、本記事で紹介する配慮事例や申請方法は、主に2026年度入試向けの公式リーフレットに基づいている。2027年度入試の具体的な手続については、最新の実施要項を確認してほしい。
道教委のリーフレットには、過去の配慮事例として次のようなものが紹介されている。
| 受験生の事情 | 配慮の例 |
|---|---|
| 聴覚に関する事情 | 補聴器の使用、座席配置への配慮 |
| 視覚に関する事情 | 拡大鏡の使用、問題用紙の拡大 |
| 肢体不自由 | 車いすの使用 |
| 糖尿病など | 補食やインスリン注射への対応 |
| 入院中 | 入院先の病院での受検 |
| 日本語指導が必要 | 問題用紙などへのルビ振り |
| 通常の検査室での受検が難しい | 別室での受検 |
| 面接で配慮が必要 | 質問の仕方を工夫する、筆談で対応する |
これらはあくまで過去の事例であり、同じ事情があれば必ず同じ配慮が認められるという意味ではない。
希望する配慮については、高校や教育委員会が具体的な実施方法を協議する。そのため、「どのような困難があるか」と「どのような対応を希望するか」を分けて伝えることが重要である。
また、一覧に掲載されていない事情についても相談できる。
相談の対象になると考えられる。
道教委のリーフレットには、発達障がいや精神面の事情について個別の配慮事例は掲載されていない。
しかし、配慮の対象として「その他:生徒及び保護者の要望により特別な配慮が必要と考えられるもの」という項目が設けられている。
例えば、集団の中で試験を受けることに強い不安がある場合や、周囲の音や光に敏感で試験に集中することが難しい場合には、必要な対応について中学校を通じて相談することが考えられる。
普段の学校生活で特別な対応を受けていない場合でも、入試で生じる具体的な困難について相談する余地はある。
ただし、特定の診断があれば、自動的に別室受検などの配慮が認められるわけではない。診断書の要否や実際に認められる配慮については、個別に確認する必要がある。
重要なのは、どのような場面で困難が生じ、どのような対応を必要としているかを具体的に伝えることである。
道教委のリーフレットには、特別な配慮を希望したことが合否に影響することはないと明記されている。
もっとも、「建前としてはそうでも、配慮を求めたことで面倒な生徒だと思われ、実際の選考では不利になるのではないか」と心配する保護者もいるだろう。
この点について、公立高校入試では、調査書や学力検査など、定められた選抜資料に基づいて合否を判定する。特別な配慮を申し出たこと自体は、合否を判断するための評価項目ではない。
もちろん、個々の選考過程で不適切な判断が絶対に行われないとまで証明することはできない。しかし、少なくとも制度上、配慮を希望したことを理由に評価を下げる根拠はない。
むしろ、必要な配慮を受けずに受検し、本来の力を発揮できなくなることの方が、受験生にとって現実的な不利益となり得る。
合否への影響を心配して申し出を控えるより、必要な配慮について早めに中学校と相談することを勧めたい。
まずは、在籍する中学校に相談する。
道教委が示す基本的な流れは、次のとおりである。
配慮の内容によっては、検査室や使用機器の準備、関係者による事前確認などが必要になる。
そのため、出願直前ではなく、必要な配慮が考えられる段階で相談することが望ましい。
中学校に相談しても話が進まない場合には、相談内容や希望する配慮を具体的に整理し、学校側に確認を求めたい。道教委は、出願先の高校や教育委員会なども相談窓口として案内している。
なお、2026年度入試の手続では、出願時の電子申請システムでも特別な配慮の希望について「有」を選択することとされている。
中学校への相談だけで手続が完了するとは限らないため、出願時の入力内容についても確認しておきたい。
相談できる。
道教委は、出願先が決まっていない場合でも、できる限り早く中学校に相談するよう案内している。
志望校が決まってから準備を始めると、配慮の内容によっては調整に十分な時間を確保できない可能性があるためである。
以前から配慮が必要だと分かっている場合には、中学3年生になる前からでも、中学校と情報を共有しておきたい。
出願後であっても、けがなどによって通常の受検が難しくなった場合には、速やかに中学校へ相談する。
中学校長が出願先の高校長に事情を説明し、必要な配慮について協議する仕組みが設けられている。
例えば、出願後に足を骨折し、階段の移動や通常の座席での受検が難しくなった場合なども、まずは学校へ相談することになる。
出願時に申し出ていなかったからといって、相談そのものができなくなるわけではない。
出願後のけがとは別に、試験当日に急な体調不良が生じた場合にも、対応する仕組みがある。
通常の検査室での受検が難しくなった場合には、速やかに中学校または出願先の高校へ相談する。状況によっては、特別検査室などで受検できる場合がある。
一方、インフルエンザなどの感染症や、月経随伴症状など、本人に帰責されない身体・健康上のやむを得ない事情で本検査を受けられない場合には、追検査の対象となる可能性がある。
ここで、非常に重要な条件がある。
本検査を一部でも受検した場合は、原則として追検査の対象にならない。
例えば、国語の検査を受けた後に体調が悪化し、残りの科目を受検できなくなった場合、原則として追検査を受けることはできない。
「途中で具合が悪くなっても、残りの科目は追検査で受ければよい」と考えるのは危険である。
当日の体調が悪い場合は、無理に最初の科目を受け始める前に、学校側へ事情を伝えることが重要である。追検査の対象になるかどうかは、自己判断せず確認する必要がある。
両者は目的が異なる。
| 特別な配慮 | 追検査 | |
|---|---|---|
| 目的 | 必要な条件を整えて受検できるようにする | やむを得ない事情で本検査を受けられなかった生徒の受検機会を確保する |
| 主な対象 | 障がい、病気、日本語指導の必要性など | 感染症、月経随伴症状など、本人に帰責されない健康上の事情等 |
| 相談時期 | 原則として早めに相談 | 本検査を受けられない事情が生じた際に速やかに相談 |
| 注意点 | 希望する内容が必ず認められるわけではない | 本検査を一部でも受検した場合は原則対象外 |
特別な配慮を受ける生徒が、必ず追検査の対象になるわけではない。
反対に、普段は特別な配慮を必要としない生徒でも、試験当日の感染症などによって追検査の対象となる場合がある。
札幌市立高校についても、特別な配慮の相談窓口が設けられている。
道立高校とは所管する教育委員会が異なるため、札幌旭丘、札幌藻岩、札幌新川、札幌清田などの市立高校を受験する場合には、札幌市教育委員会の案内も確認する必要がある。
相談先は、基本的には在籍する中学校となる。制度について直接確認する必要がある場合には、次の窓口が案内されている。
札幌市立高校について
道立高校について
問い合わせ先の最新情報は、各教育委員会の公式サイトで確認してほしい。
私立高校の入試は、道教委や札幌市教委が実施する公立高校入試とは別の制度である。
必要な配慮についても、各高校の入試担当者に確認する必要がある。
公立高校で認められる配慮が、私立高校でもそのまま認められるとは限らない。
私立高校を併願する場合には、公立高校の手続だけでなく、私立高校についても早めに確認しておきたい。
入試での配慮と、入学後の学校生活での配慮は、分けて考える必要がある。
道教委のリーフレットでは、入学後の学校生活で必要となる配慮についても相談するよう案内している。
例えば、試験では別室受検などの対応を受けられたとしても、入学後の授業や学校行事で同じ対応が自動的に継続されるとは限らない。
入学後も配慮が必要と考えられる場合には、受検時の対応だけでなく、高校生活でどのような支援が必要になるかについても事前に相談しておきたい。
特別な配慮は、受験生一人ひとりの事情に応じて、必要な対応を検討する仕組みである。
過去の事例に自分と同じ事情が掲載されていなくても、相談することには意味がある。
また、合否への影響を心配して必要な配慮を申し出ないことや、試験当日に無理をして受検を開始することが、かえって不利益につながる可能性もある。
制度の存在を知らなかったために必要な配慮を受けられなかった、ということがないよう、気になる事情があれば早めに中学校へ相談してほしい。
進学教室FiveSchools
2018年に札幌に設立され、小学5年から高校3年まで5教科指導を行う総合進学塾。教科別「クラス授業」、通い放題「FIVE学習会」、1on1「個別指導」を指導の3本柱に常に高い実績を生み出し続ける。北海道の塾ながら、Webを通じて本州、九州、四国、時に海外まで広く塾生を抱えることも特徴。
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