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北海道人の大学選び⑥ 北海道で公務員になる

※本記事は2026年10月時点の情報をもとに作成している。公務員の採用制度、受験資格、試験内容等は年度によって変更される場合がある。実際の受験にあたっては、各採用機関の最新の公式情報を確認してほしい。

公務員になりたい。できれば北海道で、できることなら札幌で働きたい。

そう考えている人は、どの大学へ進学すればよいのだろうか。

北海道庁、札幌市役所、国家公務員では採用試験の仕組みが異なり、希望する職種によって大学で学ぶべき内容も変わる。

今回は、北海道で公務員を目指すための採用制度と、道内大学の進路実績を紹介する。

北海道では、どんな公務員になれる?

北海道で公務員として働く場合、就職先にはさまざまな選択肢がある。

就職先主な仕事内容の例
北海道庁産業振興、地域政策、福祉、防災、公共事業など
札幌市役所市民生活、税金、子育て支援、都市整備、まちづくりなど
道内の市町村役場住民サービス、地域振興、教育、福祉、生活基盤の整備など
北海道内の国の機関税務、労働行政、公共事業など
警察・消防治安維持、消火、救急、救助など

札幌市内を中心に働きたい場合には札幌市職員を、北海道の広い範囲で仕事をしたい場合には北海道職員を考えることができる。

また、北海道開発局や北海道労働局、税務署など、国の機関にも北海道内の職場がある。

勤務地や異動の範囲は、採用機関や職種によって異なる。北海道内の機関に採用された場合でも、道外への異動があり得るため、採用時に確認しておきたい。

大学に進学しなくても公務員になれる?

公務員になるために、大学進学は必須ではない。

北海道職員や札幌市職員、国家公務員などには、高校卒業後に受験できる採用試験がある。

一方、大学卒業程度の採用区分では、受験資格の仕組みが異なる。

例えば、2026年度の北海道職員A区分は主に年齢によって受験資格を定めているが、札幌市職員の大学の部では大学卒業・卒業見込みなどの要件が設けられている。

国家公務員一般職でも、高卒者試験には高校卒業後の年数について制限があり、大卒程度試験には年齢に応じた受験資格がある。

「高卒程度」「大卒程度」という名称だけで、受験できるかどうかを判断することはできないのである。

大学へ進学する意味の一つは、大学卒業を必要とする採用区分への道が開かれることだ。また、専門知識や資格を身につけることで、土木・建築・農業などの技術職や、資格を必要とする専門職を目指すこともできる。

高校卒業後に就職する道と大学進学を経る道のどちらが適しているかは、希望する仕事や将来の選択肢によって変わる。

→ 北海道・職員採用試験制度

→ 札幌市・大学の部(一般方式)

→ 人事院・国家公務員採用試験情報

北海道庁と札幌市役所、試験はどう違う?

同じ行政職でも、北海道庁と札幌市役所では採用試験の仕組みが異なる。

2026年度に実施された大学卒業程度の採用試験を例にすると、次のようになる。

比較項目北海道札幌市
主な試験区分A区分大学の部
試験方式SPI方式・専門試験方式SPI方式・一般方式
実施時期4月・6月・9月方式によって異なる
複数回・方式の受験所定の条件で4月・6月・9月の併願が可能同一年度のSPI方式と一般方式は併願不可

北海道は2026年度に採用試験制度を見直し、4月と9月にSPI方式、6月に専門試験方式を設けた。

札幌市にもSPI方式があるが、併願に関する規則は北海道とは異なる。

なお、試験方式や実施時期は職種によっても異なるため、受験時には最新の採用案内を確認する必要がある。

北海道庁と札幌市役所の両方を受験できる?

北海道職員と札幌市職員は、それぞれ別の採用試験を実施している。

両方の受験資格を満たしていれば、北海道職員と札幌市職員の両方を志望することも可能である。

さらに、国家公務員一般職などを併せて受験する道もある。

複数の採用先を受験する場合は、それぞれの申込期間や試験日程を確認する必要がある。

例えば2026年度の国家公務員一般職(大卒程度)では、5月31日に第1次試験が実施され、8月12日に最終合格者が発表された。

公務員試験の準備では、筆記試験の勉強に加え、複数の採用試験をどのように組み合わせるかという計画も重要になる。

→ 北海道・2026年度職員採用試験制度

→ 札幌市・大学の部(SPI方式)

→ 人事院・国家公務員採用試験情報

公務員試験の倍率はどのくらい?

公務員試験の倍率は、採用先や職種によって異なる。

札幌市の2026年度実施の大学の部では、次のような結果となった。

試験区分受験者数最終合格者数倍率
一般方式・一般事務(行政)478人84人5.7倍
SPI方式・一般事務(行政)529人84人6.3倍
一般方式・土木27人19人1.4倍
SPI方式・土木21人11人1.9倍

※SPI方式は2027年4月採用枠。倍率は受験者数を最終合格者数で割ったもの。一般方式とSPI方式は同一年度に併願できない。

一般事務の倍率が5.7~6.3倍だったのに対し、土木は1.4~1.9倍となっている。

この数字だけを見ると、土木の方が採用されやすいと感じるかもしれない。

しかし、技術職では専門科目の履修などが受験資格となる場合があり、受験できる人の範囲が異なる。試験方式によって受験者の構成も違うため、倍率をそのまま難易度の比較に使うことはできない。

また、採用予定人数や受験者数は毎年変わる。将来の進路を考える際には、単年度の倍率だけにとらわれないことも重要だ。

→ 札幌市・大学の部(一般方式)試験実施状況

→ 札幌市・大学の部(SPI方式)試験実施状況

公務員になるなら、何学部へ進学すればよい?

公務員になるために、必ず法学部や経済学部へ進学しなければならないわけではない。

札幌市も、受験資格を満たしていれば、出身校や学科によって採用試験で有利・不利になることはないと説明している。

大学で学ぶ分野と公務員の仕事内容との関係を整理すると、次のようになる。

大学で学ぶ分野関係する公務員の仕事の例
法学・政治学行政、法律に関わる業務
経済学・経営学行政、財政、産業振興など
文学・歴史学行政、文化振興、文化財関係など
理学・工学土木、建築、電気、機械、環境など
農学・水産学農業・水産振興、技術指導、研究など
福祉・心理学福祉行政、児童相談など

※代表的な関連分野を示したものであり、各職種の受験資格を示すものではない。

一般行政職では幅広い学部から受験できる場合が多い。

これに対して、技術職や資格・免許職では、専門分野の履修や資格取得が重要になる。

例えば、2026年度の札幌市の一般技術職では、関係する学部・学科等の卒業と、関連科目の履修などが受験資格となっている。

一般行政職を希望する人と、土木・建築・農業などの専門職を希望する人では、大学の選び方も変わるのである。

→ 札幌市・職員採用試験Q&A

北海道内の大学から公務員を目指す

北海道内には、公務員への進路実績がある大学が多数ある。

国公立大学

北海道大学

法学部や経済学部などで学びながら行政職を目指すほか、理系の専門知識を生かして公務員になる道もある。

例えば、水産分野の進路資料には、水産庁、北海道、函館市などの就職先が掲載されている。なお、この資料には大学院修了者の実績も含まれている。

小樽商科大学

商学・経済学・法律学などを学びながら、公務員を目指すことができる。

大学公式サイトでは、札幌市、北海道、札幌地方裁判所、札幌国税局、北海道財務局などが就職先として紹介されている。

また、学内には「商大公務員講座」など、公務員志望者向けの支援も用意されている。

室蘭工業大学

工学分野の専門知識を生かした公務員という進路がある。

卒業生の進路情報には、北海道開発局や自治体職員などへの就職例が掲載されている。

帯広畜産大学

公務員獣医師や畜産技術職員など、農業・畜産分野の専門職を目指せる大学である。

2025年には、農林水産省など20の自治体・団体が参加する合同業務説明会を開催し、68人の学生が参加した。

私立大学

私立大学にも、公務員試験の対策に力を入れている大学がある。

北海学園大学

大学公式サイトの「試験別合格者数推移(過去5年)」によると、2025年度の公務員試験合格実績は、国家公務員一般職162件、国税専門官73件、北海道職員一般行政85件となっている。

これらは大学が公表する試験別の合格件数であり、一次試験合格者数や実際に公務員として就職した人数とは異なる。

また、国家公務員一般職の合格実績は、法律学科のほか、経済学科、経営学科、日本文化学科、英米文化学科などにもある。

北星学園大学

2023~2025年度の公務員合格者数を460名と公表している。

公務員を志望する学生向けの試験対策講座なども設けられている。

札幌大学

大学公式サイトによると、2025年度の公務員試験合格実績は延べ99名となっている。

合格先には国家公務員一般職、国税専門官、北海道職員、市町村職員、警察官、消防吏員などが含まれ、行政職から公安系の職種まで幅広い実績がある。

札幌学院大学

2025年度の公務員講座受講者51名のうち、40名が公務員試験に合格したと公表している。

これは大学全体の合格者数ではなく、公務員講座の受講者に関する実績である。

大学別の合格実績を比較するときの注意点

大学によって、公表する数字の集計方法は異なる。

例えば、一次試験合格者数、試験別の合格件数、延べ合格者数、実際の就職者数は、それぞれ異なる指標である。

複数の試験に合格した学生が、延べ人数では複数回数えられることもある。

さらに、複数年度の累計と単年度の実績、大学全体の実績と公務員講座受講者の実績も、そのまま比較することはできない。

合格実績を確認する際には、数字の大きさと同時に、何を数えた数字なのかを見る必要がある。

→ 北海道大学水産学部・卒業後の進路

→ 小樽商科大学・就職状況

→ 室蘭工業大学・電気電子工学系の進路

→ 帯広畜産大学・公務員獣医・畜産合同業務説明会

→ 北海学園大学・就職実績(試験別合格者数推移)

→ 北星学園大学・就職とキャリア

→ 札幌大学・公務員養成と合格実績

→ 札幌学院大学・公務員合格祝賀会

公務員試験に向けた大学のサポート

大学によって、公務員を目指す学生への支援体制も異なる。

北海学園大学では学内の公務員講座や採用説明会、北星学園大学では公務員試験対策講座などを実施している。

小樽商科大学にも「商大公務員講座」があり、1年生向けの進路講座や試験対策、個別相談などを通じて学生を支援している。

札幌大学や札幌学院大学でも、公務員講座や採用試験に向けた支援制度が設けられている。

例えば札幌学院大学には、一部講座について受講料の一部を大学が補助する制度がある。

大学選びでは、就職実績とともに、講座の内容や受講料、開始時期、面接対策などの支援体制を確認しておきたい。

→ 小樽商科大学・就職支援

→ 札幌学院大学・公務員講座の実績と支援

北海道で公務員を目指す大学選び

公務員を目指す大学選びでは、二つのことを考えておきたい。

一つは、将来どこで働きたいかということだ。

札幌市内を中心に働きたいのか、北海道各地での勤務も考えられるのか。採用先によって勤務地や異動の範囲は変わる。

もう一つは、どんな仕事をしたいかということだ。

一般行政職を目指すなら、大学の学部選択には比較的自由度がある。土木・建築・農業などの専門職を目指すなら、大学で学ぶ分野が採用試験の受験資格に関わることもある。

どんな仕事に就きたいのか。そのために大学で何を学ぶ必要があるのか。この順序で考えることが、進学先を選ぶ際の基本となる。

なお、公務員の給与や転勤、採用試験の実際の難易度、副業に関する制限などについては、次回の記事で詳しく取り上げる。

進学教室FiveSchools

2018年に札幌に設立され、小学5年から高校3年まで5教科指導を行う総合進学塾。教科別「クラス授業」、通い放題「FIVE学習会」、1on1「個別指導」を指導の3本柱に常に高い実績を生み出し続ける。北海道の塾ながら、Webを通じて本州、九州、四国、時に海外まで広く塾生を抱えることも特徴。

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