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2026年8月 中3道コン国語レビュー

2026.08.12

8月道コン

大問1(漢字、知識、古文)

問1
「均衡」は難しいといえば難しいが、過去何度も出題されている定番問題なので過去問演習などを積んでいる生徒にとっては見慣れたものかも。

問2
「植樹」という概念をそもそも知っているのかどうか。
今の学校で記念の植樹ってやることあるんですかね??
文脈的に「祝受」と書いた生徒が多発していましたが、「植樹」が思いつかないのであれば面白いトライだとは思います。「しゅく」ではなく「しょく」なのですが。

問4
さすがに「仏道修行」と書いた生徒はそうそういないでしょうが、「月日・年齢を積む」のほうを答えにする人は一定割合出ることでしょう。
「懸命に努力をしながら、月日や年齢を積むこと」ぐらい書ける字数があるなら、それはそれで良いかと思うのですが……。

問5
出典:「十訓抄」
鎌倉時代中期の教訓説話集。仏典「十善業道経」に発想し、「十訓」こと十ヶ条の教誡を掲げ、古今和漢の教訓的な説話約280話を通俗に説く。儒教的な思想が根底を流れる。年少者の啓蒙を目的に編まれ、その後の教訓書の先駆となった。

「かうがい」など、そこに注釈がないの? というところに注釈がない部分が多く、細かいところで理解できなかった部分が多かったのではないでしょうか。

冒頭の「いまだ殿上人にておはしける時」というのも、「~卿」と呼ばれる人のほうが「殿上人」よりも位が高く、つまり「昔(まだ出世してなくて)殿上人だったときの話」だということ。古文の冒頭ではよくある表現ですが、中学生には理解しにくいと思う。

あとは、ラストシーン近くの「雀」の意味ですね。
つまり実方が死んだあと、雀に生まれ変わってしまったか、あるいは霊になって雀に乗り移ったか(「執着の心を残して」とあるので、後者のほうが合理的解釈か?)、これも古文の世界観がある程度理解できていないと思い浮かばない解釈でしょう。

問5をしっかり書ききるには全体のポイントをしっかり理解している必要があり、さらに指定語句の意図も正しく読みとる必要があり、なかなかハイレベルで差のつく問題です。

大問2(小説)

出典:角田光代「明日、あたらしい歌をうたう」
1967年神奈川県生まれ。1990年「幸福な遊戯」で海燕新人文学賞を受賞しデビュー。1996年『まどろむ夜のUFO』で野間文芸新人賞、2003年『空中庭園』で婦人公論文芸賞、2005年『対岸の彼女』で直木賞、2006年「ロック母」で川端康成文学賞、2007年『八日目の蟬』で中央公論文芸賞、2011年『ツリーハウス』で伊藤整文学賞、2012年『紙の月』で柴田錬三郎賞、『かなたの子』で泉鏡花文学賞、2014年『私のなかの彼女』で河合隼雄物語賞、2021年『源氏物語』(全三巻)訳で読売文学賞(研究・翻訳賞)、2025年『方舟を燃やす』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『キッドナップ・ツアー』『くまちゃん』『笹の舟で海をわたる』『坂の途中の家』『タラント』『神さまショッピング』他、エッセイなど多数。2020年より直木賞の選考委員を務める。

遺影として飾られていたカリスマ的なミュージシャンの写真を、父と聞いて育った新(あらた)。
誰にも見えない存在として少女時代を生きてきたある日、耳にした音楽に救われ、恋に出会って新の母となった、くすか。
新が父の真実を知った時、二人の物語が、一つの歌に重なりはじめる――。


2026年の最新刊のはずなのに、いきなり「半ドン」が出てきたのがちょっと面白かったです。
いや、全然いいと思うんですよ。
積極的にこういう言葉を使っていってほしいぐらいです。

問3、問5
何のひねりもないシンプルな心情問題なのに、なぜ問題文をここまで複雑にするのか。そんな必要がどこにあるのか。
ダメな学テABCの問題のように、問題文の日本語があまりにも冗長すぎる。

いま、京大入試の国語を個別指導で扱っているんですが、いいですよ京大。
「傍線部はどういうことか、説明せよ」
のオンパレードですから。

問題文を読むことはそれは重要なのですが、だからと言って問題文を本文以上に複雑かつ難解なものにする意味はまったくないとわたしは思います。

あと、問題文の日本語、模範解答の日本語ぐらいは、きっちりと無駄なく美しいものを目指しましょうよ。
生徒は無意識のうちに、問題文や模範解答の日本語を「正しい日本語」だと見做しているのですよ。

ラストがなかなか素晴らしいですね……。
短編小説のラストシーンのような趣ですが、この続きはあるのでしょうか。

大問3(対話)

特にコメントすべきことはありません。
標準的、いやそれよりも容易なレベルの問題だと思います。
南北志望者であればできれば5分、せめて10分で満点取りたい。

大問4(資料)

大問3に比べると、何を答えていいかわかりにくい問題が多い印象。

そもそもグラフ1がグラフとして不自然といえば不自然。
なぜ「茶飲料」には紅茶とウーロン茶が入っていて、「茶葉」は緑茶だけなのか。
まぁ、それを見抜きなさい、という問題なのですが、ちょっと小手先のヒッカケという感じがしてあまり好きではない。

問2
模範解答、直前の和田さんの完全オウム返しになっていて、実際の会話として非常に不自然です。
前にもまったく同じことを批判した記憶があるのですが、対話文を出すのなら、模範解答を対話として自然なものにしてほしいです。
生徒は無意識のうちに、問題文や模範解答の日本語を「正しい日本語」だと見做しているのですよ(2回目)。

あと、なんで指定語句のエラーがこの問題だけこんなに厳しいの??
ふつう1点マイナスなのに、この問題だけ内容が合っていても指定語句がないだけで✕にされてしまう。

うーん……
難易度はそれほど高くない(特に後半が点を取りやすい)と思いますが、特に大問2と大問4が、問題設定、問題文、模範解答、採点基準の一貫性などなど、ちょっと粗さが目立つように感じます。

村上翔平

進学教室FiveSchools代表。函館生まれ、札幌育ち、北海道大学文学部卒。18歳より進学会(北大学力増進会)にて講師を務め、卒業後ENEOS(株)を経て、2011年より現在まで代々木ゼミナール講師。2012年から2016年まで赤門会日本語学校にて日本語教師としても活動。2018年札幌に「進学教室FiveSchools」を設立し、現在も日々教室で指導にあたる。著書「やさしい中学国語」「18歳までに知っておきたい言葉1750」など多数。

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