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FiveSchoolsオフィシャルブログ

2026年8月 中2道コン国語レビュー

2026.08.11

8月道コン

すっかり生成AIによる文章やイラストが席巻している今日このごろですが、この道コンレビューは超絶忙しいなかでもAI使用一切ナシで進めていきます。よろしくお願いいたします。

毎回どこかの学年で同じことを言っているような気もしますが、作問サイドは40分の試験時間で本当に自分たちで問題解いてみているのでしょうか?
本当に一般的な中2生がこの問題を40分で解ききれると思っているのか?
それとも「解ききれなくても構わない」という思想で問題を作っているのか?

中3と違って評論も小説も両方あり、記述の量は中3以上に多いにもかかわらず時間は10分短いわけです。
文章や問題の難易度以前の問題として、時間に対する適切な分量を毎回事前・事後ともに検討していくべきだと思います。

大問1(漢字)

「つくろう」の読み、「潔」の字あたりはややハード。
全体的に中2としてはやや難しめぐらいでしょうか。

大問2(資料)

問1
これでアを選ぶ人は、「結論」という言葉の意味を認識したほうがいい。選択肢や傍線部の中に出てくる言葉に無頓着だからアなどを選んでしまう。

問2
これも、正直本文の中を探さなくても、流れから答えは予想できないといけないと思う。ただやみくもに「本文から探す」意識ばかり持っていても国語は伸びないです。
「予想する力」「だいたいこういう内容が来るんだろうな、と考える力」はとても重要。

問3
文字数だけで圧倒されないように。
やるべきことは「自主的」「主体的」の違いを話し合いからまとめるだけなので、いたってシンプルです。
「自主的とは~」「主体的とは~」と書かれている場所とその意味を把握するだけで正解は出せるので、こういう「長いけれど実は簡単な記述」を短時間でクリアすることが今の高校入試でハイスコアを出すには必須。

大問3(小説)

出典:濱野京子「こんな部活あります わたしは、跳ぶ!──トランポリン部」
熊本県生まれ、東京育ち。『フュージョン』(2008年、講談社)でJBBY賞、『トーキョー・クロスロード』(2010年、ポプラ社)で坪田譲治文学賞受賞。

中学に進学して二週間。可も無く不可も無し。部活なんて、できればやりたくない。見学に訪れた体育館で、瑠里花が思わず目を奪われたのがトランポリン部だった。白いTシャツにハーフパンツの人が、直立のまま、すぃーっと跳び上がった。あり得ない高さだった――。時にぶつかりながらも、仲間への信頼を育てる中学生たち。

がんばる部活少女、という典型的な内容であるものの、問1からもわかるように、トランポリンが上達するとは具体的にどういうことなのかが垣間見えるのが面白い。

問4
「変化」を問う問題なので、必ず「before」と「after」と「変化の原因」の3点を把握してから書くことが重要。
また、指定語句の「願望が芽生え」があるので、「after」の内容が「願望」であることも把握。
こうやって問題文と傍線部を把握して答えの内容を絞り込んでいく作業をしているかしていないかで大きく点数は変わります。

ただ、「願望」という言葉が本文にそのまま出てこないのがなかなか意地が悪いですね(褒めてます)。
「願望」を「~したい」という形に言いかえて、「主人公はどうしたいと思ったのか」と考えてラストシーンを読めば、ほら簡単に答えが出てしまうじゃないですか。
このように「言いかえる能力」というのが少しレベルが上がった問題になるととても重要になってくるのですね。

で、「逃げない自分でいたい」というポイントがわかれば、「じゃあ友達と会話する前は?」と考えれば当然「逃げてしまいたいと思っていた」が答えになるのは本文を読まなくても自明のことです。

ただ、これ「できないことができるようになる感じを味わいたい」だとダメなのか、という大きな問題が残るんですよ……
文章中に明確に願望として示されているのは「逃げない自分でいる」ことなんですけど、なぜ逃げたくないかというとその先に「できないことができるようになる」というゴールがあるからです。
じゃあ、より先の「願望」としてそっちを書いてもいいんじゃないの? と言われたら国語指導者の方はどのように答えるでしょうか。

まぁ「自分のあり方についての願望」と書かれていることからも、「逃げない自分」を答えさせようとしているのは明らかなんですよね。でも「自分のあり方」という言い方も曖昧だし、「できないことができるようになり、自己肯定感を高めた自分」というのも「自分のあり方」だと言って言えなくはないでしょう。

あと、「練習に行くことにした」というのは行動、結果であって気持ちではないですよね。
だとすると、「逃げない自分でいたいという願望が芽生え、その先に成長した自分の姿があると思うようになった」みたいに書いたほうがむしろ質問に合っているのでは? とさえ思えてくる(字数制限は置いておくとして)。

問5
うーん……
工夫された問題だとは思うんですけど、答えになっている「ほんのちょっと」は「ほんのちょっと思い切りよくジャンプする」という意味であって、「宙返りが飛べるようになるまであとほんのちょっとのレべルアップ」とは意味が若干ズレていますよね。
別にこんなふうに強引に問題作るぐらいなら、無理に抜き出しにしなくてもいいと思ってしまうなぁ。

大問4(随筆)

出典:荒川洋治「文学は実学である」
現代詩作家。1949年福井県三国町生まれ。早稲田大学第一文学部卒。

評論というよりはエッセイ。
ボリュームの問題は置いておいて、文章も読みやすく設問も素直なスタンダード・ナンバー。
書かれている内容もごく穏当で同意できるものだと思いますし、いい問題ではないでしょうか。

単発の問題は悪くないんですよ。
悪くないからこそ、ちゃんと読み解く時間を生徒に確保してあげましょうよ、本当に。
別に中2道コンなんて入試をマネして作らなきゃいけないものじゃないのに、なんでこんなに紙面パッツンパッツンに文章も問題も詰め込まないといけないのか。

問4
「いつもの仲間が声をかけあって集まったのか」と後ろに書かれているから、イを選んでしまう人がかなり多いことでしょう。
まぁこれも必要な情報ではあるでしょうが、これはただの「具体例」であって、「いつもの仲間かどうか」以外にも必要な情報はたくさんあるわけです。だとすれば、全体を統括して表現できるのはアということになる。
これは大学受験生でも割と引っ掛かりやすいタイプの選択肢。

大問5(漢文)

出典:「説苑」
前漢の劉向の撰ないし編による故事・説話集。

問3と問4は同じことを別の形で問うているだけなのですが、問3の答え「人」が、本文中では「楚人」の形でしか出てこないのが、大問3のラストと同様ちょっと無理があるかなぁ、と……。

ただ、問4の内容がしっかり理解できていれば、「人」以外に答えはありえないことはわかるでしょうし、というか「本文から抜き出し」じゃなくても「人」だと入れられると思う。

うーん、でも結構話が難しいと思いますよ。

これは全体を通して見ても、平均点かなり低い部類になると予想します。
問題ひとつひとつがどれも易しいとは言い難い(特別難しいわけではない)レベルだらけなうえにこのボリューム感。
これで80点取れたら結構な実力者では。

村上翔平

進学教室FiveSchools代表。函館生まれ、札幌育ち、北海道大学文学部卒。18歳より進学会(北大学力増進会)にて講師を務め、卒業後ENEOS(株)を経て、2011年より現在まで代々木ゼミナール講師。2012年から2016年まで赤門会日本語学校にて日本語教師としても活動。2018年札幌に「進学教室FiveSchools」を設立し、現在も日々教室で指導にあたる。著書「やさしい中学国語」「18歳までに知っておきたい言葉1750」など多数。

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