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テストレビュー

2023年8月 中2道コン国語レビュー

大問1(漢字)

難易度のバランスも良く、標準的な問題ではないかと。
「横暴」「ぬぐう」あたりができない生徒多いですかね? どうでしょうか。

……と思ったら、以外と「添削」ができてないですね当塾生。
ちょっと意外。

大問2(資料と対話)

資料の数も1つで、話題もオーソドックスで、質問も素直な標準的レベルの問題だと思います。
こっちを中1で出すべきでしょう。

問5
直前に「一方で」があるので、対比関係をとらえることが最優先です。
10行目「50歳未満のそれぞれの年代」とあるので、答えは「50歳以上の世代」について書けばいいことがわかる。
あとは、資料Cからunder50とover50を比べるだけですね。

問2
問題は普通ですが、採点基準がきめ細かくてGoodです。
「正反対の意味」と書いた生徒が2点、「2つの意味」と書いた生徒が1点。
「不思議に思う」を書いた生徒にもう2点。
理解度、表現力に応じて「1点、2点、4点」としっかり差がつくように計算されていて、採点基準というのはこうあるべきだと思いました。
(不思議に思う、は1点分でもいいような気もしなくはないけど)

問6
⑤の後に「若い世代」とあるのを要チェックです。
だから⑤のほうがunder50で、④のほうがover50。

大問3(小説)

出典:壁井ユカコ『空への助走』
沖縄出身の父と北海道出身の母をもつ信州育ち。東京都在住。学習院大学経済学部経営学科卒業。第9回電撃小説大賞<大賞>を受賞し、2003年『キーリ 死者たちは荒野に眠る』でデビュー。『サマーサイダー』「五龍世界」シリーズ、他、ライトノベルから青春小説まで多数の著書がある。また、創作者集団GoRAの一員としてアニメ作品「K」の原作及び脚本を手がけ、オリジナル小説『K-Lost Small World-』を発表。

問1
英語の発想で、「これ」と「その」が同じように感じてアを選んでしまう生徒が多いのかな、と。
英語の文法と、国語の文法は「まったく別物」ぐらいのつもりで頭を切り替えて勉強しないといけない。

問2
意外と①のほうが分かりにくい。
梓のセリフにある「春の」は空欄前後のつながり的に使えないので、12行目「四月のやわらかな日差しとは~」のところから答えを持ってこないといけない。

問3は特にコメントしなくても解説を読めば十分かと思いますが、問4は何を答えていいのか迷うかも。「中3=負け試合のくやしさ、今回の写真=勝ち試合の喜び」に「共通して写っていたもの」なので、つまりは「梓の泣き顔」が答えになるはず。あとは13字という条件に当てはめて探すだけ。

問5
これ、今問4で解説したそのままです。
「この顔=勝ち試合の喜び」「あのときの顔=負け試合のくやしさ」なのは明らかなので、あとは「つながっている」の意味さえ説明できればいいわけです。
「負け試合のくやしさをバネに這い上がってきた、努力した、がんばってきた」のように書ければ十分。

問6
直前直後に答えが書いてあるタイプの問題ではないので、これが最も難しいでしょうか。
全体的なストーリーを把握しながら読んでいればさほどのことはないのですが、「直前直後の本文からコピペ」することばかりを覚えてしまったタイプの人は手が出ないのでしょう。

文章、内容ともにオーソドックスなレベルではありますが、全部で40分しか時間がないことを考えると、ちょっと記述が多すぎるのかもしれません。
大問3も割とガッチリ記述出まくっているので、書きなれている生徒は最後までやれると思いますが、一般的な中2レベルにしては分量多すぎるんじゃないかなぁ……。

大問4(評論)

出典:池内了『なぜ科学を学ぶのか』
1944年兵庫県生まれ。京都大学大学院理学研究科博士課程修了。総合研究大学院大学名誉教授。名古屋大学名誉教授。宇宙物理学専攻。

中1が河合隼雄で、中2が池内了という、一昔前の大学受験ド定番の先生方が今回は続きますね。

今回の中2、大問3までは標準レベルだったかと思いますが、評論がやや厳しいレベル。
「リスク評価」などという大人であってもそれなりに難しいテーマで、かつ漢語だらけの文章。
しかも、出てくる具体例が「遺伝子組み換え作物」「原発」など、今の中学生が日常的に触れているとは言えないものです。
(中立的に書いてあるように見せてはいるものの、結局のところ文章全体のスタンスが「反原発」寄りで、政治的に偏りすぎな印象も……)

まぁ、あとは各大問ごとの難易度というよりも、全体的なボリュームの問題のほうが大きいかもしれません。
メインの長文題材が4題あり、かなりの割合が記述問題です。
今回の大問4も、問2~4の3題合わせて140字。
で、中2生は全部で40分ですから、このボリュームを大問1つあたり10分でやれというのはちょっと無理があるレベルに近い。

問2
「指示語」を明らかにしたうえに、さらに理由も考えさせるという2段階方式で考えさせる問題。
これはいい問題だと思います。

問3
問題それ自体はいいのですが、採点基準がちょっと。
「ある強度以下の地震に襲われたとき」で4点となってますが、この部分だけで4点つけていいのか? と。
後半部分があって初めて意味を成すものなので、「後半部分が0点なら全体を0点とする」みたいにしないと、まったく意味を成していない答案でもそこそこ点数がついてしまいかねないのでは。

大問5(漢文、古文)

出典:「笑府」
『笑府』は、中国の明朝末期に、馮夢竜が編纂した笑話集である。 馮夢竜は、当時の蘇州府の有名な文士であり、蘇州府長洲県に生まれ、1630年に県の貢生となり、建寧府寿寧県の知県になった。明朝滅亡の際に殉死したと言われている。

「庶民の笑い話」的な話が漢文で出てくるのはかなり珍しいですね。
ただ、タイトルに「笑」とついている段階で、「何か笑い話なんだろうな」と予想しておくのは意味があると思います。
ストーリー的には落語で言えば「松山鏡」とかに近いのか。

問1
基本も基本なのですが、中1定期テストで勉強して以来一度も返り点に触れていない生徒が多いでしょうから、どれだけの生徒が基本を覚えているか。

問2
傍線部2の「影」を「自分の姿がうつった影」だと理解できていればここまでのストーリーはわかるかと。

問3
本文のラスト2行がすごくわかりにくいですね。
現代語訳を見ても意味がわからないのでは。

「汝が家の稚児=おまえの家の子ども」から、つまり「一童子」の父が、「井戸の中の子どもの父」に向かって話しかけていると判断します。

よって、「一童子」だけがアホなのではなく、この父も同じぐらいアホなんですね。
この父も「井戸の中の水にうつった自分」を、「井戸の中にいる人間」だと思い込んでいる。
そして、姿かたちが大人なので、自分の影を「息子の毽子を盗んだ子の父親だ」と判断したという話ですね。
アホ父子の話なのだ、とここで理解する必要がある。

で、非常にわかりにくいラスト2行の意味です。
「毽子を蹴るを求む=毽子を蹴りたがっている」
つまり、毽子を蹴りたいから、うちの息子が蹴り入れた毽子を盗んだのだろう。その気持ちはわかるぞ、と理解を示して言っているイメージ。

「なぜうちの子はやりたがっていないと言えるのか」
これは「反語表現」です。
「なぜうちの子はやりたがっていないと言えるのか、いや、うちの子もやりたがっている」
だから、毽子を返してくれ、と水にうつった父親(=自分の影)に向かって頼んでいるわけです。

かなり回りくどいのですが、「水にうつった自分を、別の人間だと勘違いしている」という基本ストーリーさえ間違えていなければ、細かいところがわかっていなくても答えは出せるでしょう。

中1と中2どちらが難易度高いかと言われると、わたしは問題単体だと中1だと思います。

中2は前半の大問3までがどれも標準レベルだったので、大問4で爆死してもそれなりの点数は残るかと思いますが、中1は大問2と3がそもそもヘヴィなので、大問2と3じたいも点数取れないうえに、さらに大問4はタイムアップで点が取れないというダブルパンチを食らう可能性が大きいので。

ただ、全体的なボリューム感も含めた難易度ではどうかなぁ……。

そうすると古文が入ってくるぶん中2のほうがきついと言えるのかもしれません。

いずれにせよ、中1中2ともになかなか厳しいレベルのテストだったと言ってよいかと思います。

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