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2023.08.12
「半券」って、そもそも意味理解できるのでしょうか。
最近だと電子チケットとかも普及してるじゃないですか……。
それ以外は、標準的レベルだと思います。
「半券」の正答率だけが気になる。
資料A~Eの5つは、ちょっと中1では多すぎでは……。
中3ならまぁいいかと思うのですが。いや、中3でも多いか。
今回の8月道コンが人生初道コンの人も多いでしょうし、ちょっと中1の8月はもう少しチュートリアル仕様にしてあげないと、と思います。
そもそも、紙面いっぱいに字を詰め込みすぎです。
問1
直前の「先ほど発表した」が、「丸山川河川敷」の話を指していることをつかめればOK。
問2
直後の「どんな場所なのかをイメージしやすい」、直前の「スライドに」の2つの情報をつかめればOK。
問3
前の「田中さん」の「スライドに入れるイラストを大きく」という情報をつかむ。
③④ともに、本文から抜き出すというよりは自分で考えて答えを出さなければいけない問題ではあれど、内容的にはごく常識的な答えなのでさほど難しくは感じなかったのでは?
問4
「問題文の指示を見る」→ Bの続きの原稿を書くことをチェック
「Bを見る」→ 神社祭りについて書くことを把握
「Aを見る」→ 神社祭りについての基礎情報を把握
「Dを見る」→ 実際の音声を流してから発表することを把握 → 条件2とつなげる
と、これだけの作業をやってからでないと正解が出せないです。
ひとつひとつは難しくないとは思うのですが、とにかく見なければいけない場所が多く、かつ問題文の指示も複雑。
仮に解けたとしても、ここでかなり時間を使い果たしてしまって大問3以降に十分な時間をかけられなくなった生徒もかなりいるはず。
まぁそれも含めて実力と言えば実力なのですが、再度言いますが中1の初期段階で求めていいレべルを大きく超えているとわたしは思います。
以前から道コン国語は中1~中3間でのレベル調整が不十分な印象がありますが、もう少し入試レベルから逆算して「中1生に適切なレベル」がどの程度のものなのか再検討してほしいと思います。
さらに問5が「全て選べ」なので、これも難易度が急に上がる。
出典:伊集院静『冬のはなびら』
1950(昭和25)年山口県防府市生まれ。作家。立教大学文学部卒。『乳房』で吉川英治文学新人賞、『受け月』で直木賞、『機関車先生』で柴田錬三郎賞、『ごろごろ』で吉川英治文学賞、『ノボさん』で司馬遼太郎賞をそれぞれ受賞。『大人の流儀』シリーズなどエッセイも数多い。
無二の友のために人生を遠回りした若者のせつなく、美しい時間を描いた「冬のはなびら」、鎌倉で経師職人を志す若者と、彼を見守る大人たちの話「雨あがり」、踏み出せない老年の恋情が、あざやかに俳句の中に込められていた…「春泥」など、逆境でもひたむきに生きる人々を静謐な筆致で綴る六つの短篇集。
ちょっと文体や言葉づかい、内容が中1にしては「大人向け」過ぎる。
なにせ伊集院静、「大人の流儀」の人なので……。
内容としては本当によくある「若者が師匠に弟子入りするストーリー」ではあるのですが、途中の「和平vs先代」の対比が理屈っぽすぎて……。
「範」とか「手本」とか、そもそも読んでもイメージできないと思いますし、それを「和平のほうが先代よりも優れている理由」として把握するのは正直中3でも厳しいのでは、と。
大問1の繰り返しにはなりますが、「新中1の8月=つい最近まで小学生だった人たち」ということを再認識すべきではないかな、と。
問2
この問題を解くカギはどこにあるかというと、実は3行目「目を細めて笑っていた」という部分で答えはもう決まっているも同然です。
「目を細めて笑っていた」という表現からは明らかに乾→廣作への「やさしさ、慈しみ、愛情」のような心情が反映されているので、選択肢の中でポジティブな内容になっているウ以外は選びようがないのですね。
もちろん、直後の「笑って頷いた」も強力な根拠です。
このように、「他の箇所に書かれている心情表現」とつなぎあわせて解くのが小説の基本のひとつです。
問3
問題の概要はすでに述べましたが、これを「和平だけにしかできない仕事」と書いた生徒は、どのように採点されるべきだと思いますか?
このパートは、「①自分にしかできない仕事vs手本に従った仕事」という軸と、「②表面的に豪華絢爛な仕事vs見えないところを丁寧に仕上げた地味な仕事」という軸と、2つの対比軸が同時に述べられているのですよね。
(それを中1に読み解かせるのに無理があると思っています)
空欄の後ろの「書の美をより浮かび上がらせる」につながるのは「②見えないところを丁寧に」なので、②がないと満点にはならないと思いますが、②の仕事を乾が「和平にしかできない仕事だ」と評価しているわけなので、①を0点にするのもやり過ぎかな、と。
わたしが採点基準作るなら4点中2点にしたいところです。
問4
内容的には難しいですが、正直ほぼコピペするだけの問題なので、適当に書けばマルになってしまいそう。
こういう問題好きじゃないですが、ただ今回の難易度だと難易度調整としてこういう問題1つぐらいあってむしろ良かったのかもしれません。
問5
これはいい問題だと思います。
ちゃんと「やり方」の中身を精査しないと満点が取れず、適当に書いた生徒は適当な点数にしかならない。
「物事を説明する」というのがどういうことかを知れる、教育的な問題だと思います。
問6
和平がキレているシーンが2つ出てくるので、和平でイを選んでしまった人が多いのでは。
47行目「初めて見せた憤怒の顔」とあるので、逆に言えばそれまでは一度も怒ったことがなかった、ということです。だとすると「怒りっぽい」とはならないですよね。
問5、問6はいい問題だと思いますが、とにかく文章が全体的に中1には厳しすぎるかなと。
出典:河合隼雄『子どもといのち』
1928年兵庫県篠山市生まれ。臨床心理学者。京都大学名誉教授。京都大学教育学博士。2002年2月から2007年1月まで文化庁長官(民間人からの文化庁長官就任は17年ぶり3人目)を務めた。
1952年京都大学理学部卒業後、アメリカ留学を経て、スイスユング研究所で日本人として初めて、ユング派分析家の資格を取得。その後、国際箱庭学会や日本臨床心理士会の設立等、国内外におけるユング分析心理学の理解と実践に貢献。
1982年『昔話と日本人の心』で大佛次郎賞、1988年『明恵 夢を生きる』で新潮学芸賞受賞。その他『中空構造日本の深層』、『とりかへばや 男と女』、『ナバホへの旅 たましいの風景』、『神話と日本人の心』、『ケルト巡り』、『大人の友情』、遺作『泣き虫ハァちゃん』など著作や論文は多数ある。
故小渕首相の私的諮問機関「21世紀日本の構想」懇談会座長、教育改革国民会議委員、文部科学省顧問をつとめるなど、日本の政治、教育に幅広く貢献している。
1995年紫綬褒章受章、1996年日本放送協会放送文化賞、1998年朝日賞を受賞。2000年文化功労者顕彰。2006年8月に脳梗塞で倒れ、2007年7月19日逝去。
(公式サイトより)
この大問4単体でどうかという以前に、正直大問2と大問3で時間を使い果たしてロクに読む時間もなかった生徒が多数派だと思います。
たしかに、今の大学入試共通テストとかも長文化が著しいのはありますが、とはいえ中1の今の時期で「時間に追われるだけ」みたいな問題を出すのはいいことだとは思えないです。
なので、この大問4のレビューを書くことにそもそも意味がないと思っているのですが……。
この大問4が最も素直な文章、素直な問題なんですよね。
大問4と大問2が逆になってたら少し平均点上がったのかもしれない。
「客観的な知識」と「人間が納得する物語・神話」というオーソドックスかつシンプルな対比軸をもとに、具体例も豊富でイメージがしやすく、これなら中1生もがんばれば理解可能な範囲だと思います。
じゃあ大問4から解けばよかったかというと、通常の場合は評論って最も読みにくく時間を食うものなので、その選択肢は非現実的だと思いますし、中1生の段階で「大問の順番を変えて解く」という姑息な手を使わせるのもイヤなので……。
普通に解いて、普通に時間内に終わる、という試験にしてほしいものです。
せめて中1ぐらいは。
問3
「神話」の役割を問う問題ですが、おそらく「ふしぎを説明する」だけで終わらせてしまった人が多いでしょう。
こういう長めの記述問題で書くべきポイントはまず確実に2つ以上あるので、1つ書くことを見つけたからといって安心しないように注意。
問4
「内的」「外的」をヒントにすれば書きやすいですし、傍線部の前の段落を理解して、問題文の内容を把握して解けば普通に解けるはずの問題。「記述問題で必要なこと」を学べるいい問題です。
時間さえあれば、の話ですが……。
今回の内容とボリュームだと、中1生なら70点取れれば十分なのではないでしょうか。
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