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2024.08.12
ほどほどの難易度で、良い問題ではないかと。
「余波」は字としては難しくないですが、語彙としてそもそも中2には難しいでしょうから、意味を考えて漢字を推測する必要があったのでは。
資料が4つと多く、文字も詰め詰めでかなりボリューミー。
問1~2は難しくないと思いますが、問3はわりと大変です。
①資料Bの中から「自然に関する3つの項目 → 下の3つの項目」であることを見抜く
②①を、傍線部「外国人に魅力が知られていない」ことと関連づけなければいけないと気づく
③①と②から、「3つの項目の共通点 → そもそも全部が下位である」ことに気づく
こんな感じですね。
問5も単純ですけど、全体をもう一度眺めて探す必要があるので時間を食いがちですし、大問2は油断するとかなりの時間消費につながってしまうと思います。
単体として難しい問題とは思わないのですが、前半の大問にこういうのが置いてあると、結局後半の大問に取り組む時間を食いつぶしてしまうんですよね。
後述しますが、大問3以降、大した難しい問題ないんです。
だから、大問2をスピーディーに終わらせて時間に余裕をもたせた生徒は高得点取ってくるはずなので、ここでの時間の使い方が全体の点数に大きく影響すると予想します。
道コン、北海道入試国語は、通常の読解スピードの中学生にはそこそこ厳しい文章量であることが通常なので、最初からそのつもりで時短戦略を考えて臨まねばならないのです。
出典:小嶋陽太郎「おとめの流儀。」
1991年、長野県松本市生まれ。信州大学人文学部中退。2014年『気障でけっこうです』で第16回ボイルドエッグズ新人賞を受賞しデビュー。他の著書に『今夜、きみは火星にもどる』『おとめの流儀。』『こちら文学少女になります』『ぼくのとなりにきみ』『ぼくらはその日まで』『悲しい話は終わりにしよう』『放課後ひとり同盟』などがある。
ここまで思いっきり若い作家の小説が出てきたのはわたしは初めて見たかもしれません。
プロ野球選手がすっかり年下ばっかりになったのを自覚したのと似た心境になります。
「朝子さん」と「ゆきちゃん」のキャラクターがわかりやすく立っていていいですね。
小説としては分量多いですが、問題数が少なめなのと、評論がボリューム抑え目なのでバランスは取れていると思います。
問2の記述も素直でひねりのない問題ですし、話がわかりやすいので、オチが読めてしまえばダッシュで読めます。古文、説話集を読んでいるような感覚でしょうか。
ただ記述の文字数はわりと長いので、のんびり取り組めばそれなりに時間はかかります。
大問2も結構なボリュームですし、ここまでで時間使い果たしてしまった生徒は今回厳しい結果になりそうですね。
先ほども述べましたが、今回失敗した生徒はこれを糧に「時間配分」にも目を向けてみてください。タイムマネジメントがうまくいくだけで10~15点ぐらい平気で変わってくると思います。
問3
書き抜き「足首をひねる」はただの具体例なので、答えとしてはどうでしょうね。
ムリして書き抜きにしないほうがよかったのでは。
問4
採点基準B「マネージャー」に触れていないと✕、というのは不適当な基準だと思います。
「かよちゃんのことを言っている」というのがこの場面での最重要ポイントなので、むしろA「かよちゃん」がないと✕、B「マネージャー」がないと2点マイナスというのがあるべき採点基準でしょう。
出典:榎本博明「読書をする子は○○がすごい」
心理学博士。1955年東京生まれ。東京大学教育心理学科卒。東芝市場調査課勤務の後、東京都立大学大学院心理学専攻博士課程中退。川村短期大学講師、カリフォルニア大学客員教授、大阪大学大学院助教授等を経て、MP人間科学研究所代表。心理学をベースにした執筆、企業研修・教育講演等を行う。
見るからにボリュームが中1評論より少なく、しかも文章内容としても比較的読みやすいもので、またしても「難易度逆転現象」が起こっているように見えます。
問題も、書き抜きメインで本格的な記述は最後の問5のみ。
大問1~2が厳しいボリュームなので、大問3でバランス取ってきた感じなのでしょう。
問2
問題文の日本語がおかしい。
冗長だし、助詞の使い方が変。
国語イマイチ高校生の記述答案みたいな日本語で問題文を書かないでほしい。
問題文がわかりにくいので「結局何を答えないといけないか」を生徒側が強く意識しないと、的外れな答えになってしまいます。
問3
①が「11字」で、②が「15字以内」。
①は「11字以内」ではないですからね、1字でも違う段階で絶対答えではないです。
問5
「どのようなことができるかどうかに関係していると考えていますか」って、これも問題文の日本語おかしいですよ。
問題文書いてからちゃんと音読して推敲してほしい。
しかも最終段落をほぼ丸写しするだけの「ナンチャッテ記述問題」で、冗長な問題文は最終段落を指し示すための誘導にすぎない。
うーん、ここしばらくクオリティ面で道コン国語に文句つけたくなることはなかったのですが、今回の中2評論はちょっと。
問題文もかなりアレですけど、そもそも出典の文章じたいが中1と比べると……
金田一春彦の文章と比べたら悪いのかもしれませんが。
出典:露の五郎兵衛「露休置土産」
1643年-1703、江戸時代前期の落語家。京都出身で、元は日蓮宗の談義僧。還俗して京都の北野、四条河原、真葛が原やその他開帳場などで笑い咄、歌舞伎の物真似、判物を演じた。故に上方落語の祖とされる。号は雨洛。晩年に再び剃髪し、露休を号す。
露の五郎兵衛、いまも残る落語家の名跡です。
二代目露の五郎兵衛も比較的最近まで存命していらっしゃいました。
口語訳は解答解説に載っているので割愛します。
問1
地味に難しい。
「何と」をセリフの中に入れるか入れないか、それが問題です。
「何と」はつまり英語で言うところの「感嘆文」の表現なので、誰が「感嘆」しているのかが問題。
筆者、語り手が「感嘆」しているとすればカギカッコの中には入らないし、「買手」が「感嘆」しているとすれば答えの中に含めるべき、ということになります。
問3
質問の意味を間違えないように注意。
「起き上がった理由」ではなく「倒れた理由」です。
問4
落語家の出典らしく、オチの意味を聞く問題はなかなか新鮮です。
そのうち「なぜ夢になってはいけないのか」「結局そば屋に何文支払ったのか」「タンコブが引っ込んでしまったのはなぜか」とか出題される日が来るのかもしれません。
「猪」がないとマイナス1点という採点基準がありますが、「いや、古そうな」の部分を引用して答える生徒も多いと思うんですよね。
ただ、今回の場合は「現代語」で答えろという指定なので、そのまま古文を引用するイメージで答えてはいけないはずなんです。
いつも言っていますが、古文は大学入試までずっと「あらすじを最後まで把握できた人間が勝つ」ものです。
細かい解答テクニックなど後でいいので、まずは「あらすじを最後まで追う」訓練を。
全体的に、大問2が複雑かつボリューミーなので、大問2で時間消費をうまく抑えられた人が勝つ試験だと思います。
大問2で時間を使い過ぎて、大問4以降をちゃんと取り組めなかった人は今回厳しい結果になるでしょうが、これも経験ということで次回に活かすべし。
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