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2025.07.16
では、その「ガマン」とは何なのか。
集団指導と個別指導で「ガマン」の意味が違うので、場合分けして話をしましょう。
集団指導の塾の場合、基本的には「全生徒が一斉に同じ授業を受ける」ことを意味します。
そうすると、生徒それぞれで得意・苦手がまったく違うにもかかわらず、最大公約数的に「だいたいここが苦手な人が多い」という雑なカリキュラムで授業を組み立てるしかなくなります。
すると「本当に教えてほしい(その生徒にとっての)重要単元」に時間を割かれず、「そこは特に授業を聞く必要ないんだけどな……」という単元ばかりを説明される、といったニーズとの不一致が大なり小なり必ず発生します。
細かくクラス分けがなされている塾ならまだマシではありますが、この少子化&人件費高騰の状況で、十分なクラス分けが行える経営体力を持つ塾などまず存在しません。
中枢となる大規模会場でも「松竹梅」のように成績順でせいぜい3クラスに分けるのが関の山ですし、地方の小さい教室だとレベルも無視して1つのクラスに全員突っ込まれることになります。
さらに大きな問題は、新規生ではなく「既存生」で起こります。
新規生であれば、多少効率が悪かったとしても、一度まっさらな状態で全部の単元をさらう意味は十分にあると思います。
たとえ本人が得意だと思っていても、指導者から見れば全然何も理解してない、というケースはザラにありますし。
ただ、「既存生」は季節講習会を何度も何度も受けることになりますよね。
たとえば小6からその塾に通って、中3まで辞めずに過ごした素晴らしいお客さまの場合、
・中1春、夏、冬
・中2春、夏、冬
・中3春、夏、冬
(に加えて学テABC特訓、正月特訓、入試直前特訓なども)
と合計9回も講習会を受けることになりますが、最初の1回目はともかくとして、残り8回の講習はすべてを「ご新規さま」の生徒と一緒に受けることになります。
前回述べたとおり講習会の経営的な最大の目的は「新規顧客の獲得」ですから、当然、担当の先生は「ご新規さま」をメインにして授業を行わざるをえないんですね。
「ご新規さま」に「意味わからなかった」と思われるのが最大のダメージになる。
一方「既存生」はちょっと不満に思ったぐらいでは塾を辞めることはありません。
どちらを優先すべきかは明らかなのです。
ですから、既存生は毎回の講習会のたびに(先生は変わったとしても)結局同じ内容の話を聞かされ、
「被子植物と裸子植物の見分け方のゴロ合わせ、もう聞くの7回目なんだけど……」
とウンザリする経験をすることになる。
「もうその話はわかったから、もっとレベルの高い問題や今の自分の課題に取り組ませて!」
と言いたくなる。
この話を読んで、ヘッドバンキングするように頷いている中3生も多いことでしょう。
当塾の面談で、大手集団塾の生徒にこの話をすると「そうそう! まさにそう!」という大きなリアクションをいただくことがほとんどです。
この不満はかなり言語化しにくい複雑なものなので、一度このブログを見せるなどして、お子さんに実情を聞いてみてほしいところです。
もちろん、前の講習会で聞いた話をすっかり忘れてしまうようなレベルの層にとってはほぼ何の問題も生じないです。
このシステムで不利益を被るのは、主にSS60~65、さらにそれをオーバーするような生徒、つまりFiveSchools生マジョリティど真ん中の層の生徒たちです。
じゃあ、そういう雑な集団指導塾は辞めて「個別指導」に転塾するとどうなるでしょうか。
もちろん、今言ったような課題は全部解決……すると思った人は考えが甘いです。
世の中の(特に安価な)個別指導塾はほとんどが学生バイトなのは周知の事実です。
本部が作ったマニュアルを持たされ、そのマニュアルに従ってしか指導できない学生バイト講師が、果たして前回記した生徒の不満やニーズをしっかり理解して受け止めて、ニーズを満たすような教材選定、差配、指導ができるのでしょうか。
こと指導力の「平均値」ということで言えば、間違いなく前述の大手集団授業塾のほうが高いです。
もちろん、とても優秀な学生講師は個別指導塾にも存在しますし、そういう人が担当であれば簡単にやってくれることでしょう。
ただ、そんな優秀な学生講師が担当になる可能性は決して高くないでしょうし、自分にそういった優秀な担当がつくのかどうかは入塾しないとわかりません。体験授業だけエース講師が担当し、いざ入塾すると二線級三線級が担当になることもしょっちゅうです。
では、評判のよいプロがやっている個別指導塾に通う、プロ家庭教師をつけるとなると……
現実問題、費用がいくらなるのかということです。
集団授業だとせいぜい月3万ぐらいで済んでいたところが、同じ日数、同じ時間をプロ個別講師、プロ家庭教師で確保するなら余裕で月10万をオーバーするでしょうし、季節講習会だと20万、30万が飛んでいっても全然おかしくないです。
かと言って、費用が高いからと言って「週1回、60分」とかにしますか?
「塾があるから勉強していた」タイプの生徒が、週3通っていた塾を週1にしたら、単純に勉強時間が1/3になるのは目に見えています。いくら指導者の質が高くても、勉強時間が確保できないようでは成績など上がるわけがない。
週1回のプロ教師を使って成果が出せる生徒は、そもそも一定の勉強習慣を最初から持っている層だけです。
(本当にすごい人は、勉強習慣のない生徒に週1回の指導で勉強習慣をつけさせるように指導するのでしょうが、それこそそんな芸当ができる人がどれだけいるのかというと……)
ということで「個別指導なら安心!」かというと全然そんなことはないのですね。
じゃあ、どうすればよいのか。
もう、みなさん、答えはわかっていますね。
FiveSchoolsをその答えにしよう、と思ってわたしはこの塾のシステムをずっと改良し続けてきたわけです。
わたしは、特に既存生にしわ寄せを押し付けて新規生を優遇する(それも大した優遇になってない)塾の仕組みがものすごくイヤで、まずは長年通ってきてくれている既存生に十分なサポートを確保したうえで、それとは別個に新規生向けの企画を考えるべきだろうと学生講師時代からずっと考えていたんですね。
で、それを形にするべく実際にFiveSchoolsを作って、あれこれ試行錯誤したうえで7年かかって今のスタイルにようやく落ち着きました。(今後も微修正が入っていく可能性は大いにありますが)
そのFiveSchoolsスタイルというのがどういうものなのか、次回、このシリーズ最終回で語ろうと思います。
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