NANAIRO DAYS
2026.08.29
北海道の公立高校入試が、今後変わる可能性がある。
北海道教育委員会は2026年4月、入学者選抜の改善を検討する「公立高等学校入学者選抜改善の検討に係る懇談会」を設置し、7月14日に第1回の会合を開いた。推薦枠の拡大や第2次募集の出願資格など、現在の制度に関わる幅広いテーマについて意見が交わされている。
ただし、今回の懇談会で出された意見が、そのまま制度変更になるわけではない。
すでに決まっている変更と、今回新たに検討されている事項を分けて見ていきたい。
北海道教育委員会は2026年3月30日、「道立高等学校入学者選抜における改善の基本方針」を公表した。
この基本方針では、道外からの入学者受入れの拡大、連携型中高一貫教育に関する選抜の改善、入学者選抜の事務手続きの改善などが示されている。
なかでも注目されるのが、道外からの入学者受入れだ。
2027年度入試から、道外受入れ枠を拡大する実証事業が始まり、取り組む高校を「特例校」に指定する。北海道教育委員会は、道外の生徒との交流による生徒の成長や、道立高校の魅力化などを目的としている。
詳しい制度や対象校については、北海道教育委員会「高等学校入学者選抜情報」で確認できる。
個人調査書についても変更がある。2028年度入試から「出欠の記録」欄が削除されることが決まっている。
ただし、出欠の記録を選抜の資料として使用しない運用は2026年度入試から始まっており、選抜資料として使わなくなることと、調査書から欄そのものがなくなることは別の変更となる。
今回、特に目を引くのが推薦枠の拡大だ。
早い段階から進学先について明確な目的を持っている生徒にとって、推薦入試の機会が増えれば選択肢が広がる。このため、推薦枠の拡大を支持する意見が出され、特に職業学科や専門学科について枠を広げることを求める意見もあった。
一方で、一律に推薦枠を拡大することには慎重な意見も出ている。
高校や学科によって特色や求める生徒像が異なるため、それぞれの状況に応じて考える必要があるというものだ。また、早い段階で進学したい学科を決めることで、後から希望を変更しにくくなる可能性も指摘された。
推薦枠をどこまで広げるのが適切なのか。今回の懇談会では、その線引きが議論されている段階であり、現時点で拡大が決まったわけではない。
北海道では2023年度入試から自己推薦を導入した。2025年度入試では、推薦入学者選抜の受検者数が7,687人、合格者数が5,478人となっている。
北海道教育委員会によると、自己推薦を導入した2023年度以降、推薦入学者選抜の受検者数、合格者数はいずれも毎年増加している。年度ごとの状況は、北海道教育委員会の「高等学校入学者選抜情報」で公表されている。
今回の懇談会では、自己推薦の導入によって各高校の「入学者の受入れに関する方針」が具体的に示され、生徒が自分の適性や志向に合った高校・学科を選びやすくなったのではないかという意見も出た。
ただし、自己推薦の導入と受検者数の増加に直接の因果関係があるとまでは、資料から判断できない。
推薦枠の問題と合わせて、選抜方法そのものを多様化することも検討されている。
高校によって教育内容や特色が異なる以上、それぞれの学校に合った生徒を選抜できる方法を増やすことには一定の意義がある。懇談会でも、こうした方向を支持する意見が出された。
一方、選抜方法を増やせば、中学校や高校の事務負担が大きくなる可能性がある。生徒や保護者にとって制度が分かりにくくなることも考えられるため、選抜の多様化と制度の分かりやすさをどう両立するかが課題となる。
受験生にとってもう一つ気になるのが、第2次募集の扱いだ。
北海道立高校では、最初の入学者選抜で募集人員に達しない場合などに第2次募集を行う。現在の制度では、最初の入試で合格した人などは第2次募集に出願できない。詳しい実施条件や出願資格は、北海道教育委員会「高等学校入学者選抜情報」から各年度の実施要項を確認できる。
今回の懇談会では、この出願資格を見直すことが議論された。
その背景の一つとして、私立高校の授業料負担をめぐる制度変更が、今後の進路選択にどのような影響を与えるのかという問題がある。私立高校に進学した後、授業料以外の費用負担などを理由に公立高校への転学を希望するケースが出てくる可能性についても意見が出た。
一方で、制度変更によって進路選択がどう変化するのか、今後の動きを見ながら考える必要があるという意見もある。第2次募集の出願資格についても、現時点では変更は決まっていない。
過年度卒業生について、推薦入学者選抜への出願機会を設けることも議論された。
現在は中学校を卒業してから時間が経過した生徒が推薦入試を利用することには一定の制限がある。こうした生徒にも受検機会を広げることについて、賛同する意見が出ている。
複数の学科を設置している高校では、第2・第3志望の学科に合格した生徒について、その後第1志望の学科に欠員が出た場合、第1志望学科への追加合格を可能にする仕組みも議論された。
第1志望の学科への進学を希望する生徒にとってはメリットがある一方、合格辞退が出た後に追加合格を決めるまでの時間が限られるため、学校側の手続きが課題になるとの意見も出ている。
道外から北海道の公立高校を受験した生徒について、第2次募集への出願を認めるかどうかも論点となった。
北海道教育委員会はすでに、2027年度から道外からの入学者受入れ枠を拡大する実証事業を始めることを決めている。今回の懇談会では、この制度との関係も含め、道外からの受検生が第2次募集に出願できるようにすることについて意見が出された。
道外からの入学者受入れについては、北海道教育委員会「高等学校入学者選抜情報」にも関連情報が掲載されている。
2027年度の北海道立高校入試の日程は、すでに決まっている。
推薦入学面接日は2027年2月9日、学力検査日は3月3日、追検査日は3月10日、合格発表日は3月16日となっている。
令和9年度北海道立高等学校入学者選抜の日程について(北海道教育委員会)
2027年度からは道外からの入学者受入れ枠を拡大する実証事業も始まる。一方、今回の懇談会で議論された推薦枠の拡大、第2次募集の出願資格などについては、2026年8月29日現在、変更は決まっていない。
2027年度入試を受験する中学3年生は、現在公表されている制度を前提に準備することになる。今後変更が決まった場合には、変更内容だけでなく、どの年度の入試から適用されるのかを確認する必要がある。
今回の第1回懇談会では、推薦入試から第2次募集、道外からの受検まで、公立高校入試のさまざまな場面が議論の対象となった。
今後、推薦枠をどこまで広げるのか、第2次募集の出願資格を変更するのかといった点が、具体的な制度案に進むかどうかが焦点となる。
懇談会の設置期間は2027年3月31日まで。第2回懇談会については、2026年8月29日現在、北海道教育委員会のページで「準備中」とされている。
今後、北海道教育委員会から新たな資料が公表されれば、今回検討された内容がどこまで具体化したのかを確認する必要がある。
北海道教育委員会「公立高等学校入学者選抜改善の検討に係る懇談会」
進学教室FiveSchools
2018年に札幌に設立され、小学5年から高校3年まで5教科指導を行う総合進学塾。教科別「クラス授業」、通い放題「FIVE学習会」、1on1「個別指導」を指導の3本柱に常に高い実績を生み出し続ける。北海道の塾ながら、Webを通じて本州、九州、四国、時に海外まで広く塾生を抱えることも特徴。
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