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テストレビュー

2024年11月 中3道コン国語レビュー

大問1(漢字、短歌、資料)

問1、問2

「看」とか「蔵」が絶妙なレベル感で、良いチョイスではないかと思います。

問3

短歌が昔の学テBのような、それなりのボリューム感で登場しました。

入試予想問題というわけではないのでしょうが、そのうち「韻文」が部分的に復活するような予想を道コンもしているのかもしれません。

問題としては表現技法(直喩=~のごとし)が(1)、(2)①で基本的な情景と心情の把握、(2)②で表現とリズムの把握とバランスよく出題されていて良い問題だと思います。難易度もちょうどいいと思う。

問4

出典:樋口裕一「発信力 頭のいい人のサバイバル術」

作家。多摩大学教授。アフリカ・フランス文学翻訳家。「白藍塾」塾長。1951年大分県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、立教大学大学院博士課程修了。専攻はフランス文学。博士課程終了後、翻訳業を続けながら予備校講師として教壇に立ち、大学入試小論文の指導にあたる。1991年に独立し、小学生から社会人までを対象とした小論文・作文通信指導塾「白藍塾」を設立する。

まさか樋口氏の名前を道コンの出典で見ることになるとは。

プロフィールにあるとおり、小論文では日本で一番有名な予備校講師と言っていいでしょう。

(その指導内容について語るのは本題でないので触れません)

(1)は、質問内容を把握できたかどうかが全てです。間違えた人は、ほとんどが「実際に進展している内容」を答えてしまったのでしょう。今回の問題文で求められているのは「かつて予想されていた内容」なのですね。「Aだと予想されていたが、実際はBだった」という文で、問題が求めているのはAで、間違えた人はBを答えてしまったということ。

何度も言っていますが、入試国語の最大の要点は「質問を把握して、質問に正しく答えること」です。

「この問題は結局何を答えさせたいのか?」を特に記述問題では必ずチェックして解かないと、このようなミスを連発することになります。

あとは標準的な問題だと思いますが、(3)②で55字をカウントするのが手間だな、とは……。

全体的にほどよいレベルで、比較的点数は取りやすい大問1だと思います。

大問2(小説)

出典:河邉徹「ヒカリノオト」

1988年6月28日‐、日本の小説家、作詞家、写真家、ドラマー。WEAVERの元ドラマー。『流星コーリング』で広島本大賞受賞。『蛍と月の真ん中で』が読書感想画中央コンクール課題図書に選ばれる。最新刊『ヒカリノオト』が第8回未来屋小説大賞にノミネート。他著書に『言葉のいらないラブソング』など。

本物のミュージシャンが音楽の小説を書いたということで、ファン心理がかなりリアルに描かれています。

テストとしては、本文が見開きまるまるすべて使われていて、問題も問8までとかなりえげつないボリューム感。

実際やってみた受験生の皆さんはどの程度の時間をこの問題で使ったのでしょうか。

今度の反省会でしっかりヒアリングしたいところです。

問1

これもさっきと同じ話ですが、聴かれているのは先生の気持ちではなく、それを聞いた「私」の気持ちです。

ただ、となると問題文の日本語がおかしいんですよね。

「なぜ授業でみんなに言えないのですか。」と書いてしまうと、まるで先生の気持ちを説明するような問題に見えてしまう。

「なぜ授業でみんなに言えないのか、その理由について私が~」というように、間接疑問文的な言い方にしないといけない。

また、答えの場所が道コンにしては珍しくかなり離れた場所にあるのも難易度を上げています。

あくまで「みんなに言えない理由」を答えなければいけない問題です。

「先生が染谷の歌を選んだ理由」について書かれた場所を答えにしていないでしょうか。

問1の答えが出ないうちに、先に問2~問5を解くことになります。

共通テストとかではたまにあることですが、これも高校入試ではやや珍しい。

問2~問5の問題はわりと素直な内容なので解きにくくはなかったと思いますが、問3の解答の日本語が妙にくどくなるのと、問4の字数がかなり長めなので、ある程度時間は取られてしまいそう。

問6

これも、問題文の条件を正確に把握したもの勝ちでしょう。

・私が行った歌詞の解釈を答える(先生の気持ちを答えるのではない)

・コンクールでどのように歌うかを答える。

すると、58行目、75行目が正解のキーになることは明白です。

このように、問題文の条件から、本文のキーとなる行数を特定していくように考えると記述問題はスムーズに解けます。

文章内容は特段理解しにくいものではないと思いますし、出てくる人物も基本「私」と「先生」だけなので、パッと見のボリュームの多さから受けるイメージほど難しくはないですね。「標準~やや難」ぐらいの印象ですが、読むスピードが遅い人は大問3以降に影響が出てしまいそう。

大問3(漢文)

出典:「韓非子」

中国戦国時代の法家である韓非の著書。内容は春秋戦国時代の思想・社会の集大成と分析とも言えるものである。

厳格な法治主義の励行が政治の基礎であると説き、法と術の併用によって君権を強化することを目ざした。

古文漢文は毎回そうですが、今回は特に前半であらすじがつかめないと厳しい。

逆にあらすじを理解できた人は余裕で満点取れる、差がつく問題になると思います。

・客が不死の方法を教える……ここは全員理解できるはず

・王が、人に不死の方法を学ばせる……そもそも、この時点で「なぜ王は自分で学ばないの?」という疑問が出たかもしれません。要するに、人=部下に学ばせて、それを王である自分のために使わせようとしていたわけです。

・「学ばしむる所の者」を読み間違えた人が最も多いと予想します。「学ばせた者」という意味だと、これが「部下」のことなのか「客」のことなのかがハッキリしないので。本当は「部下」のことを言ってるのですが、これを「客」のことだと勘違いしたまま進んでしまったせいで、文章全体の意味が崩壊してしまったのではないでしょうか。

今回の文章が意味わからなかったという人は、この「学ばしむる所の者」が「部下」であることを認識したうえでもう一度トライしてみてください。

問3

質問文がわかりにくく、何を求められているかが見えなかったのでは。

「察せざるの愚」と言っているので、要するに「何を察せなかったのか」と、「なぜ愚かなのか」の2ポイントを書けばOKなのです。

「傍線部内のわかりにくい曖昧な箇所を、わかりやすく具体的に置き換えること」が傍線説明問題の基本スタンスです。

問4

これも、空欄の後ろまでしっかり読まないと何を答えていいかわからないですよね。

大問4(資料)

内容はどれも基本的なものばかりですが、大問2のボリューム、大問3の難易度の高さがあるので、果たして十分な時間が大問4に残されていたのかどうか。

テーマである「外来語」はよく出る頻出のものなので、過去問演習などで似たような問題を解いたことがある生徒も多いでしょう。

ただ「リスク」「ポジティブ」を使うかどうかと、「相手は目上かどうか」はほぼ関係ないような気がするのですが……まぁそこはどうでもいい話ではあります。

大問2と大問3がそれなりに大変で、全体として「やや難易度高め」ぐらいの回だろうと思います。

(激しく難しいとは思いませんが、蓋を開けてみると思ったより平均点低いことが最近続いているので……)

復習しがいはあるはずなので、この問題で目標点を取るためには自分に何が足りないのか、ぜひ振り返っていただきたいところです。

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