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2023.10.23
10月道コンは学テCに寄せていく回、とはよく言われるのですが、よく考えるとその割に俳句出しませんよね。
大問1が漢字で、大問2が資料問題というごくオーソドックスな形式。
小説と評論も両方出ているので、要するに入試が60点満点だった時代の出題形式をそのまま使うのが10月道コンの特徴になるのでしょうか。去年もそうだったし。
(1)の「遵守」は中学生にはちょっと馴染みがなさそうですね。
(2)の「頓挫」は(1)よりは知ってるかな?
あとは難しくないかと。
問1
「よう」が後ろに来ると未然形になる、と知らないと解けない。
(「し」という形は未然形も連用形も同じなので、活用表を暗記しているだけではダメ)
未然形=「ない」は知ってる人が多いでしょうが、「う・よう」まで知ってるかどうか。
問3
指定語句「~だけでも」が恣意的で、模範解答ありきの強引なものに過ぎます。
「上位10か国だけでも」とここの解答に入れなければならない本質的な意味は何もなく、そもそも単に「日本にいる外国人は、すごく多くの種類の言葉を使うから」だけで十分な回答ですし、よって採点基準のAも本来ならば不要です。
問題作成者がイメージした模範解答がそもそもピントが外れていて、その外れたイメージに生徒を無理やり誘導しようと不要な指定語句を入れて、その結果生徒に意味のない混乱をもたらしてしまったと言っていいと思います。
まぁ、その無理やりさが、ある意味学テABCのクオリティに近いと言えば近い気もしますが……。
あ、でも問4と問5は好きですよ。
問4は具体例と本文の説明を対比させて、「ルビ」について本文で触れられないことを見抜く問題ですが、問5の「問4に当てはまる工夫はしなくてよい」という問題文の注釈もある意味問4のヒントになっていますね。
問3が残念ですが、あとは妥当な問題だと思います。
出典:辻村深月「この夏の星を見る」
1980年2月29日生まれ。山梨県出身。千葉大学教育学部卒業。
2004年に『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。他の著作に『子どもたちは夜と遊ぶ』『凍りのくじら』『ぼくのメジャースプーン』『スロウハイツの神様』『名前探しの放課後』『ロードムービー』『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』『V.T.R.』『光待つ場所へ』(以上、講談社)、『太陽の坐る場所』(文藝春秋)、『ふちなしのかがみ』(角川書店)など。2010年に『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』が第142回直木賞候補作となる。
問2
これも、大問2の問3と同様、模範解答と設問条件にちょっと疑義ありです。
(大問2の問3ほど大きな問題ではないですが)
「亜紗たち上級生が< >だけでなく、既にその人たちと次の予定の相談まで始めていたこと」
模範解答が、
「ナスミス式望遠鏡の製作をしている間に、深野と広瀬が、五島チームやひばり森中の人たちと連絡先を交換していた」
さて、どうでしょうか。
「五島チームやひばり森中」と書かずに「他の学校」と書いたら1点マイナスという採点条件がまず気に入らない。
むしろ「スターキャッチに参加していた他の学校の人たち」とまとめるほうが適切でしょう。
まぁ、ただ「他の学校」と書くだけなら説明不足と言われても仕方ないとは思いますが、「スターキャッチに参加していた他の学校」であれば十分マルにすべきだと思う。
あと「ナスミス式」がないとマイナス1点というのもよくわからない。
その情報に何か意味があるとも思えないし。
あと、前半部分について。
「上級生がナスミス式望遠鏡の製作をしている間に」
これはこれで別にいいんです。
いいんですけど、これは「上級生がナスミス式望遠鏡の製作をしている間に」の部分が、「五島チームやひばり森中の人たちと連絡先を交換していた」の部分を修飾しているという想定で書かれた模範解答です。
ただ、もう1つ、別のアプローチで答えを書こうとした生徒もいると思います。
空欄部分よりも後ろに「既にその人たちと次の予定の相談まで始めていたこと」と書かれていますよね。
この最後の部分を、空欄部分前段が修飾している、という前提で答案を書くこともできなくはない。
そうすると、
「上級生が具体的な計画を決められずにまごまごしている間に」
みたいな答えでも良さそうに思えてきます。
ただ、今の段階で亜紗は「年末スターキャッチ計画」を人に話していないわけなので、となると「上級生が」という文言と合わないと言えば合わない。「上級生が」だと、明らかに亜紗だけでなく、他の上級生も含めた言い方になってしまうので。
「亜紗が」で始まるのであればこの解答でも文句ないと思うのですが。
出典:畑村洋太郎「やらかした時にどうするか」
日本の工学者、東京大学名誉教授。東京都出身。 失敗学の提唱者で、失敗学会の設立にも携わった。創造的設計論、知能化加工学、ナノ・マイクロ加工学。 最近ではものづくりの領域に留まらず、経営分野における「失敗学」などにも研究領域を広げている。
問1
シンプルですが、いい問題です。
「仮想失敗実験」という言葉の意味をイメージしないまま解くと、おそらく5行目の
「失敗を自分事にして、同じ失敗を繰り返させないために失敗を語り継ぐこと」
のような答えを書いてしまう。
(まぁこれでも0点ではないですが)
「仮想=現実ではない」
「失敗の」
「実験」
この3つの意味を理解して、この3つの意味と意味的にしっかり結びつくところを答えにするよう意識するのがコツです。
問2、問3
今時めずらしいぐらいシンプルな問題で、まさに学テCといったテイスト。
問4
一見複雑そうに見えますが、問1で「仮想失敗体験」の意味がつかめていれば、あとは問1と「小さな失敗体験」の関係を発見すればいいだけなので、実は(問1がわかっている生徒には)難しくない問題です。
逆に言えば、問1で落としていると難易度が上がってしまうわけですが。
あとは「本文中で挙げられている例を用いて」という条件を見落としていなければ、満点が狙いやすいはず。
問5
これも8月道コンと同じく「すべて選べ」という完全解答問題なので、それだけで難易度が上がります。
出典:『十訓抄』
『十訓抄』は鎌倉時代中期の教訓説話集。 仏典「十善業道経」に発想し、「十訓」こと十ヶ条の教誡を掲げ、古今和漢の教訓的な説話約280話を通俗に説く。儒教的な思想が根底を流れる。年少者の啓蒙を目的に編まれ、その後の教訓書の先駆となった。
前半は3行は特に難所がなく、4~5行目は横に訳がついているのでまったく問題ないでしょう。
問題は6行目からの対句が理解できたかどうか。
「学ぶ者」と「得る者」
「すること」と「よくすること」
がそれぞれ対になっていることから、「学ぶ者=すること」「得る者=よくすること」の関係をつかむ。
すると「得る者=よくすること=マスターして達人になること、達人になった人」という意味だと理解できますよね。
その理解をもって問3をやれば答えが出せるはずです。
問3
そこを理解しきれなかった多くの人が、(1)で「鞠の精」と答えることでしょう。
別に成道が鞠の精になったわけじゃなくて、成道が達人になった結果、鞠の精に会うことができたというお話です。
①とか③に「達人」のような意味の言葉を入れればいい、とイメージできた生徒が勝つわけです。
古文、とてもいい問題ですね。
いい問題ですが、特に問3(1)はものすごく正答率低そうです。
「鞠の精」と答える人のほうが正解者よりずっと多くなると思う。
古文がかなり難易度高いと思いますが、大問3、大問4は「やや難しめ」ぐらいの体感です。
8月道コンよりは難度低めだと思いますが、それでも去年までの国語と比べるとなかなか厳しいレベルだと思います。
評論と小説が両方ある設定なので、時間もいつもよりきついと思いますし。
英語は70点取るのも大変だ、というイメージですが、国語は80点取るのがなかなか大変だと思います。
70点台に上位層の生徒でも集中してしまう気がする。
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