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長谷川温音

韓国留学体験記 第6回

2023.02.08

長谷川温音

年も明け、いよいよ受験シーズンですね。

受験本番は緊張すると思いますが、落ち着いて解いた方が絶対に点数も伸びるのでリラックスして挑んでください。

私は共通テストを受験した際、多少点数が低くても二次で取り返せるから気にしなくて良いと考えリラックスして受けたのですが、結果的に最後の模試よりも50点以上伸びました。私の時は模試より本番の方が簡単だったというのもありますが……
多少の緊張感は必要ですが、少なくとも焦って点数が伸びることは絶対にないので気張りすぎず頑張ってください。応援しています。

さて、6回目の留学体験記です。

韓国の大学は学期が3月・9月始まりなのでその分終わりも少し早く、12月半ばに冬休みに入りました。日本の大学生より少し早く2年生を終えたことになります。韓国人学生とともに授業を受けるのは不安でしたが、無事単位をすべて取得することができました。

11月からはバイトもはじめ、言語が韓国語であること以外日本の大学生とほぼ変わらず生活しています。

日本と韓国はどちらも先進国なので生活面で大きな差を感じることはそこまでありません。多少日本の方が便利な面、韓国の方が便利な面はありますし、食生活の違いもありますが困るほどではありません。

ただ、日本と韓国には決定的な違いが一つあります。戦争中か否かです。

皆さんご存じの通り、韓国は北朝鮮と休戦状態です。
1953年に休戦した後、大きな衝突は起こっていませんが、北朝鮮の工作活動や指導者暗殺未遂、テロなど南北間の対立が原因となる事件はその後も多く起こっています。
つい先日も北朝鮮の無人機が韓国の首都ソウルまで到達するという事件が発生しました。

K-POPや韓流ドラマが好きな人であればよくご存じだと思いますが、韓国には一定年齢の男性が必ず軍隊に行かなければならない兵役制度もあります。朝鮮半島の分断が韓国社会に大きな影響を及ぼしていることを、留学に来て強く感じました。

そこで先月、改めて南北問題について学ぶため、分断の最前線である韓国と北朝鮮の軍事境界線付近に位置する施設を訪問してきました。

まず訪問したのは、民間人が自力で行ける場所としては最北端に位置する臨津閣(イムジンカク)平和ヌリ公園です。

この日はこの地域で栽培が盛んに行われている豆のお祭りが開かれており、多くの人が集まっていました。わずか数キロ先に北朝鮮があるとは思えないほどの平和な雰囲気に拍子抜けしたのも束の間。ゴンドラにのって川を渡り、民間人統制区域に入ると人生で初めて見る「地雷 MINE」と書いた看板が目に入り、恐怖を感じました。

実際に朝鮮半島には未だに数多くの地雷が残っているとされており、撤去作業が続いています。今年も軍事境界線に近い地域で地雷が爆発し、男性1人が死亡する痛ましい事故が起きました。戦争は絶対に起こしてはいけないものだということは理解していましたが、一度起こしてしまうとその後数十年にわたり人々の生活に影響を与え続けるということを改めて学びました。

「지뢰 MINE」と書いた看板

一週間後、今度はツアーを利用してDMZ(非武装地帯)を訪問しました。

軍事境界線今回のツアーで訪れたのは北朝鮮が韓国に侵入するために掘った第三トンネルと、北朝鮮を一望することができる都羅展望台です。どちらも民間人統制区域の中に位置するため、立ち入る前に検問でパスポートチェックを受けました。

まず訪れたのは第三トンネル。

ネットフリックスで公開されている作品「ペーパーハウス・コリア」では、犯行グループの主犯格である「教授」の父親が、北朝鮮が掘った南侵トンネルを閉鎖する業務を担当していたという言及がありました。

もちろんこれはフィクションですが、トンネル自体は実在したものです。北朝鮮が作った南侵トンネルは現在発見されているだけで4つ、実際には10数個存在するのではないかと言われています。今回訪問した第三トンネルはその名の通り韓国で3番目に発見された南侵トンネルです。

トンネルは、現在は北朝鮮からの侵入を防ぐため中間地点に壁が設けられていますが、韓国側から入ると北朝鮮まで繋がっています。民間人でもトンネルを通り北朝鮮まで約200メートルの地点まで行くことができます。私も実際にトンネルの中に入ってきました。

この場所では、朝鮮戦争休戦後に韓国の中まで迫っていた北朝鮮の脅威を感じると同時に、北朝鮮の兵士もこのトンネルを掘るのは相当大変だっただろうなと感じました。北朝鮮自体に怖い印象を抱きがちですが、市民は悪くないですからね。
掘削作業はダイナマイトで爆発しながら行われたと聞きました。作業の過程で命に関わる事故も起こっていたのではないかと思います。

韓国でも兵役は大きな負担となっていますが、北朝鮮の兵役制度はもっと厳しいものです。男性は10年、女性は7年の服務が義務化されています。トンネルを掘っていた当時よりは対立自体が緩和したため多少改善されているかもしれませんが、今でも北朝鮮軍の勤務環境は劣悪であると聞きます。

韓国は経済的にも文化的にも発展を遂げたため、同じ民族とはいえ異質な存在である北朝鮮との統一を望む声は年々小さくなっています。
しかし、人権侵害が深刻な北朝鮮市民の人道的な支援という意味で統一や往来の自由化などは必要なものなのではないかと感じました。一外国人の雑感なので最終的には朝鮮半島に住む人々が決めるべき問題ですけどね。

第三トンネル

次に都羅展望台を訪問しました。

私が訪問した日は運が悪く霧がかかっていたため写真はきれいに撮ることができなかったのですが、うっすらと北朝鮮の最南端に位置する開城という街を見ることができました。また、第三トンネルの北朝鮮側の入り口なども見えました。

よく韓国の人々は「近くて遠い国」という言葉で日本を表現します。距離的にとても近く、往来も盛んですが、歴史問題や領土問題などで対立しており心理的な距離が遠いからです。しかし、私は展望台で北朝鮮を眺めた時、この言葉は北朝鮮を形容するのにぴったりだなと感じました。こんなに近く、肉眼で見える距離にあるのに、行くことができない。特に元々故郷が北側だったり、家族や知人が北に住んでいる人にとってはこんなに近いのに往来できないことがとても辛いだろうと思いました。

民間人統制区域の中では「平壌 220km」(正確な数値ではないです)という標識も見かけました。いつか軍事境界線という障壁がなくなって南北を自由に行き来できる日が来たら良いなと思っています。

北朝鮮のお金

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