NANAIRO DAYS
2026.05.20
では、その「ガマン」とは何なのか。
集団指導と個別指導で「ガマン」の意味が違うので、場合分けして話をしましょう。
集団指導の塾の場合、基本的には「全生徒が一斉に同じ授業を受ける」ことを意味します。
そうすると、生徒それぞれで得意・苦手がまったく違うにもかかわらず、最大公約数的に「だいたいここが苦手な人が多い」という雑なカリキュラムで授業を組み立てるしかなくなります。
すると「本当に教えてほしい(その生徒にとっての)重要単元」に時間を割かれず、「そこは特に授業を聞く必要ないんだけどな……」という単元ばかりを説明される、といったニーズとの不一致が大なり小なり必ず発生します。
細かくクラス分けがなされている塾ならまだマシではありますが、この少子化&人件費高騰の状況で、十分なクラス分けが行える経営体力を持つ塾などまず存在しません。
中枢となる大規模会場でも「松竹梅」のように成績順でせいぜい3クラスに分けるのが関の山ですし、地方の小さい教室だとレベルも無視して1つのクラスに全員突っ込まれることになります。
さらに大きな問題は、新規生ではなく「既存生」で起こります。
新規生であれば、多少効率が悪かったとしても、一度まっさらな状態で全部の単元をさらう意味は十分にあると思います。
たとえ本人が得意だと思っていても、指導者から見れば全然何も理解してない、というケースはザラにありますし。
ただ、「既存生」は季節講習会を何度も何度も受けることになりますよね。
たとえば小6からその塾に通って、中3まで辞めずに過ごした素晴らしいお客さまの場合、
・中1春、夏、冬
・中2春、夏、冬
・中3春、夏、冬
(に加えて学テABC特訓、正月特訓、入試直前特訓なども)
と合計9回も講習会を受けることになりますが、最初の1回目はともかくとして、残り8回の講習はすべてを「ご新規さま」の生徒と一緒に受けることになります。
前回述べたとおり講習会の経営的な最大の目的は「新規顧客の獲得」ですから、当然、担当の先生は「ご新規さま」をメインにして授業を行わざるをえないんですね。
「ご新規さま」に「意味わからなかった」と思われるのが最大のダメージになる。
一方「既存生」はちょっと不満に思ったぐらいでは塾を辞めることはありません。
どちらを優先すべきかは明らかなのです。
ですから、既存生は毎回の講習会のたびに(先生は変わったとしても)結局同じ内容の話を聞かされ、
「被子植物と裸子植物の見分け方のゴロ合わせ、もう聞くの7回目なんだけど……」
とウンザリする経験をすることになる。
「もうその話はわかったから、もっとレベルの高い問題や今の自分の課題に取り組ませて」
と言いたくなる。
この話を読んで、ヘッドバンキングするように頷いている中3生も多いことでしょう。
当塾の面談で、大手集団塾の生徒にこの話をすると「そうそう! まさにそう!」という大きなリアクションをいただくことがほとんどです。
もちろん、前の講習会で聞いた話をすっかり忘れてしまうようなレベルの層にとってはほぼ何の問題も生じないです。
このシステムで不利益を被るのは、主にSS60~65、さらにそれをオーバーするような生徒、つまりFiveSchools生マジョリティど真ん中の層の生徒たちです。
じゃあ、そういう雑な集団指導塾は辞めて「個別指導」に転塾するとどうなるでしょうか。
もちろん、今言ったような課題は全部解決……すると思った人は甘い。
(つづく)
村上翔平
進学教室FiveSchools代表。函館生まれ、札幌育ち、北海道大学文学部卒。18歳より進学会(北大学力増進会)にて講師を務め、卒業後ENEOS(株)を経て、2011年より現在まで代々木ゼミナール講師。2012年から2016年まで赤門会日本語学校にて日本語教師としても活動。2018年札幌に「進学教室FiveSchools」を設立し、現在も日々教室で指導にあたる。著書「やさしい中学国語」「18歳までに知っておきたい言葉1750」など多数。
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