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代表挨拶、教育理念

執筆者の写真: FiveSchoolsFiveSchools

更新日:1月29日

数ある学習塾の中からFiveSchoolsにご興味を持っていただき、そしてこのサイトをご覧いただき、まことにありがとうございます。


「当たり前」を積み重ねると、知らない世界が見えてくる。

Piling up the obvious, we'll discover a world we never knew existed.


開塾当初から変わらない、当塾の揺るぎない理念です。


この言葉が生まれたのは、今はなき代々木ゼミナール仙台校に、わたし村上がはじめて出講した冬のことです。


代ゼミでは受験直前期、色紙に生徒への激励メッセージを書いて貼り出す恒例イベントがあり、その依頼を受けたときにちょっと考えてパッと浮かんだのがこの言葉でした。

このフレーズをなんとなく気に入って、その後同様に激励メッセージを求められるたびに同じ言葉を書いていたものです。


深く悩んで出てきた言葉よりも、瞬間的に思い浮かんだ言葉がもっともよく本質を表すというのはありがちなことで、FiveSchoolsが教育指導をするうえで大切にしたいこと、生徒さんに大切にしてほしいこと、スタッフに大切にしてほしいこと、これらすべてをうまく体現しているな、と素直に思えたものですから、2018年に当塾を立ち上げるにあたって迷わずこの言葉を理念として採用しました。


創業当初の看板


2代目看板


こうして公式サイト上でご挨拶する機会が得られたので、せっかくですからこの理念を通してわたしが何を言いたかったのか、この場でしっかり説明をしておこうと思います。


まず、わたしがよく授業でも扱うテクスト、2008年センター試験追試、高橋巌「ヨーロッパの闇と光」から引用します。


われわれが一本の木に相対するとき、針葉樹か闊葉樹か、杉か松か、一本か二本か、自然に生えたものか等々という無数の概念をもってこれに相対する。もしふさわしい概念が発見できないとき、われわれは不安を感じるが、反対に対応する概念が発見できれば、それ以上その対象にかかわり合う必要がない。たとえもはや知覚していなくとも、一旦獲得してしまえば、概念や表象はいつまでも心の中にとどまっていてくれる。だからわれわれの世界像の構成要素として概念だけを取りあげ、概念の様々の複雑な組合せによって、次々により高度の新概念を作り出すことに専念している現代の、いわば思考の肥満症的徴候をもつ社会において、純粋な感覚の質的体験が無視されていくのは当然なのである。


この引用箇所は「思考・概念」について「肥満症的」というややネガティブな書き方をしていますが、「思考・概念」に対するそういった価値判断はここでは脇に置いておきます。

わたしがこのテキストから導きたいメッセージはこうです。


われわれが現代社会で扱うさまざまな概念は、どれも一見するときわめて複雑かつ高度なものに見えます。科学、法律、経済などなど、例をあげるとキリがないですね。


それと同様に、生徒たちの目から見れば、初めて立ち向かう中学・高校の教科内容、入試問題、いずれも自分の力では及ばない、距離を測ることもできない複雑高度なものに見えているのかもしれません。


はじめて仕事をする「社会人」も同じでしょう。

先輩や上司が話している仕事の打ち合わせ、最初は何を言ってるのか用語の意味すら理解できず、電話対応もできずにまごまごするだけの何もできない自分がそこにいる。


先ほどの「FiveSchools理念」でいえば、まさに「知らない世界」が次々と目の前に立ちはだかってくるのが勉強であり、仕事であり、そして人生なのだろうと思うわけです。


ただ、先ほどの「ヨーロッパの闇と光」引用箇所をもう一度見てください。


「概念の様々の複雑な組合せによって、次々により高度の新概念を作り出すことに専念している」


どんなに複雑で高度なように見える概念も、それは結局のところ「組み合わせ」によって作られたものにすぎない。

その「組み合わせ」をほどいてみれば、それを構成するひとつひとつの概念じたいは単純なものにすぎなかったりするわけです。

でも、その組み合わせの複雑さゆえに、未熟な人間にはそれが「単純なもので成り立っていることに気づけない」だけです。


であれば、われわれが「より高度なもの」を手に入れたいのなら、やるべきことは「一発で全てを逆転させてくれる便利な魔法」を追い求めることではないでしょう。そもそも、そんなものは存在しないのですから。

われわれがやるべきことは、自分が望む「より高度なもの」を構成する、ひとつひとつのシンプルな概念に向き合い続けることです。


勉強であれば、本当に成績を上げたいのなら、勉強時間をかけずに得点が取れる「裏ワザ」を求めるのではなく、自分に足りないものは何かを突き詰めて考える。できない今の自分を認める。基本が理解できていないのなら、中1の基本内容からもう一度やり直す勇気を持つ。


われわれ指導者にしても同じです。

より良い指導をしたいと思うなら、一瞬で生徒をやる気にさせ、成績を急上昇させるような「お仕着せのメソッド」を探すのではなく、教える教科内容ひとつひとつに向き合い、理解する。担当する生徒ひとりひとりの話を聞いて、必要だと思う言葉を投げかける。一回一回の授業に全力を注ぎこんで、悔いの残らない仕事をする。


そうやって、目の前の「当たり前」のことに地道に向き合うことでしか、自分が手に入れたい「知らない世界」は手に入らないのではないか。

いや、それを「地道な努力」だとさえも思わなくなり、本当に心の底からそれを「当たり前」だと思えるようになったとき、いつの間にか自分が「知らない世界」にいることに後から人間は気づくものなのではないか。

こんなふうにわたしは考えているわけです。


……と、このようにつらつらと書いてみましたが、自分が思っている仕事への向き合い方、勉強との向き合い方を、どの程度言語化できているかは自分でも定かではありません。

というのも、わたしの仕事や生徒への向き合い方は日々の中で少しずつ変化、成熟するものであるからです。

いつか、ここに新しい理念や考え方が付け足されたり、削られたり、改変されるかもしれません。そのように、変化と成長を続けるFiveSchoolsでありたいと思っています。


当塾にご興味を持っていただいた皆さんと、今後よいご縁が生まれることを願っております。どうぞ、よろしくお願いいたします。


進学教室FiveSchools代表

村上 翔平






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