NANAIRO DAYS
2026.04.03
中2ほどではないにせよ、中1も結構ボリューム的にわりとありますが、どんな感じでしょうか。
標準的な出題ですが、最後の2つは同音異字で間違えさせようとしている問題ですね。
問1
「~のに」の指定語句だけで答えを引っ張り出すのは若干強引な感もなくはないですが、「前後の流れと問題文を読む」ということを教育するにはいい問題ではないかと。
毎年言っている気がしますが、中1の4月国語は「問題を通して新中1生を教育してやろう」という意思があるように見えて、好感が持てることが多いです。
問3
大問2の中では最も厄介。
全体の話し合いの流れの中で「何を放送で言うのか」をすべてピックアップしてから、放送原稿と突き合わせて何が抜けているかをチェックしないといけないので、作業量が多い。
まぁ、指定語句の段階で「小学校と中学校の対比」であることは明らかなので、そこを把握して解けば一瞬で解けてしまうのですが。
問5
ほかの文と文末がそろってはいないのですが、むしろここだけ敬体を使わずに意図的に常体を使うテクニックもあるので、中3道コンだったらその表現効果を問う問題を作っても面白そうですね。
全体的なバランスもよく、中学国語で求められることがそれぞれの問題に配置されていて、なかなか最初に中1生がやるには適した問題ではないかと思います。
出典:森絵都「あしたのことば」
1968年東京都生まれ。『リズム』で講談社児童文学新人賞を受賞してデビュー。その後、『アーモンド入りチョコレートのワルツ』で路傍の石文学賞、『カラフル』で産経児童出版文化賞、『DIVE!!』で小学館児童出版文化賞など、多数の児童文学賞を受賞。さらに、『風に舞いあがるビニールシート』で直木賞、『みかづき』で中央公論文芸賞を受賞。その他の著書に『宇宙のみなしご』『つきのふね』『永遠の出口』『クラスメイツ』『出会いなおし』『カザアナ』『あいうえおさん』など多数。
前半は、落語「寝床」「ジャズ息子」を彷彿とさせる内容です。
25行目なんて完全に「寝床」そのもの。
問2
中2でも言いましたが、こんな問題は選択問題にして出題したほうがずっと自然な良問にできると思うんですけどね。19文字数えるだけの、まったく頭を使わない無意味な時間が好きじゃない。
問3
問2の形式でただ機械的に文字数数えるより、絶対こっちのほうがそれぞれの選択肢を比較検討するときに頭使うんですよ。
「選択問題の復権」を今後目指していくべきだと思う。
それはそれとして、10行目の風香の口調がリアルな小学生っぽくていいですね。
問4
本文の言葉を抜き出すわけでなく、レトリカルな表現を自分のことばで具体的に直すたいへんに良い問題。こういう問題を毎回1つでも出してくれれば、それだけで生徒の国語への取り組み方って少しずつ良い方向に向かって行くと思います。
問5
後半全体をまとめる問題で、問題としては良いと思いますが、るうちゃんをオニにしようとするのは笑ってしまいました。
問6
①、「なぞのかいぶつみたいなおたけび」って、「ジャズ息子」の「野獣の咆哮」のパロディではないでしょうか。川柳師匠リスペクトだったら嬉しいなぁ。
いや、文章もとても面白いし(るうちゃんをオニにするのはどうかと思う)、問題もとても良いし、すばらしい大問3でした。
出典:中村明「悪文 裏返し文章読本」
1935年山形県鶴岡市生れ。国立国語研究所室長、成蹊大学教授を経て、母校、早稲田大学の教授、名誉教授。主な著書に、『作家の文体』『名文』『悪文』『比喩表現の世界』『人物表現辞典』(以上、筑摩書房)、『日本語語感の辞典』『日本の作家 名表現辞典』『笑いのセンス』『吾輩はユーモアである』『日本語文体論』『日本の一文30選』(以上、岩波書店)、『日本語の文体・レトリック辞典』『センスをみがく 文章上達事典』(以上、東京堂出版)、『美しい日本語』(青土社)などがある。
これも、もうタイトルだけで読みたくなりますよ。
本文のチョイスセンスが中1、中2ともに全部すばらしいです。今回。
問1
これも面白い問題ですねぇ。
一般的に用いられている「呼吸」とは異なる、今ではあまり使われない用例に線を引き、辞書と対照させることで「こんな使い方もあるんだ」と生徒に新しい発見をもたらす。
これはわたしには思いつかない出題形式でした、すばらしい。
何かで作問するときにパクリたいスタイルです。
問2、問3
かと思えば、トラディショナルな空欄補充形式の接続語に指示語。
このように、斬新なスタイルとトラディショナルなスタイルを自由に入れ混ぜてくる。
問4
抜き出し問題ですが、この抜き出し問題はわたしはイヤじゃないんですよ。
なぜかというと、「答えになっている抜き出し箇所が、『そこしかない!』と思える必然性のある箇所」だからなんですね。
無理のある抜き出し問題ではないので、こういう問題だったらアリだと思う。
「抜き出し問題である必然性があるかどうか」が大事なポイントなんだなぁ、と自分の中で再確認しました。
問5
問3と同じ指示語の問題ではあるものの、今回は「具体例」を簡潔にまとめる作業が入るので、ワンパターンさは感じません。
問6
これも問4と同様、必然性のある抜き出し問題です。
これまでの文章で述べてきたことを、6字という端的な短い文字数でまとめるとどうなるのか、と問うているので、これはまさに抜き出し問題であるべき抜き出し問題だと言える。
いやぁ、ちょっと「完璧」と言ってもいい超良問ではないでしょうか。文句のつけどころがない。
歴代いろいろな道コンを見てきましたが、ここまですべてが素晴らしい回はなかなかないと思います。
難易度の設定もちょうどいいと思いますし、「最高傑作」の称号を贈らせていただきたい。
村上翔平
進学教室FiveSchools代表。函館生まれ、札幌育ち、北海道大学文学部卒。18歳より進学会(北大学力増進会)にて講師を務め、卒業後ENEOS(株)を経て、2011年より現在まで代々木ゼミナール講師。2012年から2016年まで赤門会日本語学校にて日本語教師としても活動。2018年札幌に「進学教室FiveSchools」を設立し、現在も日々教室で指導にあたる。著書「やさしい中学国語」「18歳までに知っておきたい言葉1750」など多数。
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