NANAIRO DAYS
2026.04.03
うーん、パッと見た印象だけでもボリューム多すぎることに気づきそうなものですけど。
このボリュームを40分で一般的な新中2が解けるかというと、かなりキツイでしょう。
実際の高校入試は評論、小説1問しか出ずに50分ですから、この問題だと下手したら本番の高校入試より時間タイトです。この問題が時間内に解けるなら高校入試も間に合います。
標準的な出題です。
問2
後ろの小野さんだけで答えを出した人もいるでしょうが、その後ろの里村さんまで読んだほうがよい。
内容的には標準的ですが、問5が問題文、2段落&3段落の内容、1段落と見るべき箇所が多いのでちょっと大変。
前述のとおり時間がかなり厳しいので、こういう実用文系の問題は「ただ点数が取れるだけ」では実戦力があるとは言えないです。
できるだけ短い時間で解き終え、大問3以降に時間的な余裕を残し、かつ十分な点数を取るまで鍛えないといけないのですね。
今回の問題はボリュームやり過ぎだと思いますが、基本戦略としてはどの問題でも同じです。
出典:乾ルカ「明日の僕に風が吹く」
1970年北海道札幌市生まれ。2006年、「夏光」で第86回オール讀物新人賞を受賞。2010年には『あの日にかえりたい』で第143回直木賞候補となる。他の著書に『花が咲くとき』『メグル』『願いながら、祈りながら』『向かい風で飛べ!』『モノクローム』『森に願いを』『ミツハの一族』『奇縁七景』『花が咲くとき』『わたしの忘れ物』など多数。
中学二年生の頃、医師を目指していた川嶋有人は、重度のアレルギー発作を起こした転校生を助けようとするが失敗し、軽度の障がいを負わせてしまう。それ以来、夢も未来も失ったと引きこもっていた有人だったが、憧れの叔父・雅彦の勧めにより、彼が医師として勤める北海道の離島・照羽尻島の高校に入学することに。「海鳥の楽園」と呼ばれるその島の高校の全校生徒は、有人を含めてたったの5人。待っていたのは島男子の誠、可愛くて優しい涼先輩、ある事情により札幌を離れた桃花、鳥類学者を目指すハル先輩など個性ある級友たちだった。東京とは何もかもが違う離島での生活に戸惑いながらも、有人は少しずつ自信を取り戻し始める。しかし、突然の別れと残酷な真実が有人に降りかかり……。
熱い涙なしでは読めない、明日へ踏み出す勇気をくれる感動の物語!
問1
ほぼ抜き出すだけの記述問題。
まぁ1問ぐらいはこういう問題あってもいいとは思います。
ただ、問2も問4も問5も実質抜き出しに近い記述ばかりなので、ちょっとあまりにもワンパターンに感じてしまう。
こういう「抜き出しコピー&ペースト」に慣れ過ぎたせいで、大学入試の記述とまったく戦えなくなる生徒は本当に多いのでね……(最近も完全にそのパターンにハマってしまった高校生に出会った)
こういう問題出すぐらいなら、本当は選択問題にしたほうがよほど生徒の勉強になるというか、高校進学後につながる勉強になるんですけどね。
まぁこれは高校入試がそうなので、道コンに文句言っても仕方ないような気もしますが、それにしても大問3は「そういう問題しかない」ので……。
問2
これも問1と結局は同じですが、問題文の読み込みが必要なぶん若干面倒。
問3
ね、問1よりこっちのほうがよほど思考力が必要ですし、ずっといい問題でしょう。
「選択問題=思考力を問えないオールドスクールな出題形式」だと公立高校入試の作問者は思っているのだと思いますが、全然そんなことはないのです。
問4
他の記述と比べれば悪くない問題だと思いますが、結局32行目のセリフをほぼコピーするだけといえばコピーするだけ。
心情というよりは内容説明なので、ふつうであれば評論で問われるような問題にも見えます。
……途中の変な指定文はいらないと思いますが、まぁこれも北海道入試がそうなので、道コンに文句言っても仕方ない。
問5もまた実質的には抜き出し問題。そんなに抜き出しばかりさせて何がしたいのか。
ちなみに問5、「確かな熱」と答える生徒が相当多いと思われますが、どのように国語指導者の方は説明するのでしょうか。結構、指導者の力が問われると思います。
皮肉なことに、選択問題である問3だけが「これはいい問題だな」とわたしには思えます。
本文は面白いです。
出典:池谷裕二「脳研究者 育つ娘の脳に驚く」
1970年 静岡県藤枝市生まれ。薬学博士。東京大学薬学部教授。2002~2005年にコロンビア大学(米ニューヨーク)に留学をはさみ、2014年より現職。専門分野は神経生理学で、脳の健康について探究している 。また、2018年よりERATO脳AI融合プロジェクトの代表を務め、AIチップの脳移植によって新たな知能の開拓を目指している。文部科学大臣表彰 若手科学者賞(2008年)、日本学術振興会賞(2013年)、日本学士院学術奨励賞(2013年)などを受賞。また、老若男女を問わず、これまで脳に関心のなかった一般の人に向けてわかりやすく解説し、脳の最先端の知見を社会に有意義に還元することにも尽力している。
これもリード文の時点ですでに面白そうで、読んでみたくなりますね。
大問3と同様本文チョイスのセンスは良いのですが、さて設問はどうでしょうか……
問1
いきなり難しくなりましたね。昔の「裁量問題」のときのような難易度の上がりっぷりに思えます。
ただ、大問3のナンチャッテ記述とは違ってやりごたえは十分あります。
空欄のうしろが「ことを理解したからだ」とあるので、「一連の長い動作ができない娘」と、「長い動作ができるようになった娘」の何が違うのかを読み取っていくべきだと判断できます。
答えの候補になりそうなものが大量にあるので、どの要素を使ってどう組み立てていくのか、それこそ「全体として目的を持った」答案作成をしないと、何を書いていいのかわからなくなります。
あと、この問題、適切に採点できる指導者ばかりではないと思います。
たとえば、2段落ラストの「より複雑に入り組んだ因果関係」を使って答えても内容的にはまったく問題ないです。ただ、採点基準表にカバーされてないので、✕にされてしまうケースがわりと出ると思う。
問2
これも大問3と同じ抜き出しではありますが、問1みたいな問題があって、問2に抜き出しがあるのはわたしは全然悪くないと思うのです。
抜き出しばっかりワンパターンに問うことで、「国語は本文からそれっぽい場所を抜き出すものだ」という誤った固定観念を生徒に植え付けるのがよくないのです。
問3
これもすごくいい問題ですねぇ。
なんか、大問4が難易度高めでありつつもすごく良い問題だらけで、大問3を「あえて易しく」調整したような気もしてきました。
だとすると、さっきちょっと大問3を悪く言い過ぎたのかもしれない。
いや、でも、それを考慮に入れてもちょっとな……。
②にイを入れてしまう人は、数学の「命題」のところを勉強してもらいたいです。
問4
抜き出しといえば抜き出しに近い記述ではありますが、利点と欠点の順番が本文では逆に出てくるので、そのまま機械的には抜き出せない。
問5
これもいい選択肢がそろっている。
大問3もそうですが、今回の道コンは選択問題が光る。とても良い。
大問4はかなりの良問と言っていいと思いますが、それだけに難易度としては比較的難しいと思います。
そもそも時間的に使い果たして十分に取り組めなかった生徒もかなりいると思うので、時間無制限でじっくり読んで解き直しましょう。
出典:松平定信「花月草紙」
江戸時代中期の大名、老中。陸奥国白河藩の第3代藩主。定綱系久松松平家9代当主。江戸幕府8代将軍・徳川吉宗の孫。老中であった1787年から1793年まで寛政の改革を行った。
内容以前に、そもそもどれだけ時間が残っていたか、という話なのですが……。
この問題は「全体として何が言いたい話なのか」と問う問題があって然るべきかな、と思いますが、まぁ大問4との兼ね合いもありますから、それを入れるとちょっと全体として難易度上がり過ぎるかな……。
大問3単体で見ればそのクオリティは不満ですが、大問4、大問5との兼ね合いということで考えればこれはこれでアリなような気もしてきます。
時間は相当な生徒が足りなかったと思いますが、それが平均点にどう反映されるか。
わたしとしては(ボリュームも含め)難易度が高い回の道コンに思えますが、大問3の平均点が高そうなので、そこでノーマルレベルにぐらいに調整されているのかも。
村上翔平
進学教室FiveSchools代表。函館生まれ、札幌育ち、北海道大学文学部卒。18歳より進学会(北大学力増進会)にて講師を務め、卒業後ENEOS(株)を経て、2011年より現在まで代々木ゼミナール講師。2012年から2016年まで赤門会日本語学校にて日本語教師としても活動。2018年札幌に「進学教室FiveSchools」を設立し、現在も日々教室で指導にあたる。著書「やさしい中学国語」「18歳までに知っておきたい言葉1750」など多数。
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