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テストレビュー

2023年4月 中3道コン国語レビュー

問題形式について

もう何度も書いていますが、新中3の生徒、保護者の方はこれまでの国語出題の流れを把握されていない方もいようかと思いますので、再度要約します。

2021年度まで(旧システムの入試)

・中位以下の高校が主に採用する「標準問題」

・中上位の高校が主に採用する「裁量問題」

に問題が分かれていました。

分かれていた、といっても4つの大問のうち3つは共通で、1つの大問だけが異なるという中途半端なものではありましたが。

で、標準問題は次のような構成です。

① 小問集合、簡単な対話文

② 資料問題

③ 小説

④ 古文

そして、裁量問題は次のような構成。

① 資料問題(標準問題②と共通)

② 小説(標準問題③と共通)

③ 評論

④ 古文(標準問題④と共通)

これが、2022年度になると標準・裁量の区別がなくなり、以下のような出題となりました。

① 漢字、語彙、短めの対話文

② 小説

③ 古文

④ 資料問題

要するに、すべてを過去の「標準問題」に合わせてきたということです。

これには、わたしもブログで批判しましたが、各方面から猛批判があったとだろうと思います。

評論は大学入試で最も配点が高く、今の国語教育において根幹と言っていいジャンルです。高校からの勉強を考えたとき、評論を出題しないなど考えられないし、全都道府県を見てもこんな出題は北海道以外ひとつもありません。

その意味では、過去の「標準問題」の構成も批判されるべきだったのでしょうが、当塾、標準問題を受ける生徒がそのとき一人もいなかったので、そこまで正直考えてなかったですね……。

今思えばこのときから批判しておくべきでした。

そして直近の2023年度入試の構成はこうです。

① 漢字、語彙、短めの対話文

② 評論

③ 古文

④ 資料問題

小説を出すのをストップし、評論に差し替えてきました。

こういう構成は全国でもたまに見ますし、大学受験ではスタンダードとも言えます。

(とはいえ、中学国語では相当な割合を占める小説を出さないというのは、中学内容の習得度を問う入試として適切なのか? という批判はあって然るべきだと思います)

と、このような流れの中で、道コンがどのような構成で出してくるのか、われわれは毎回注目して見ている、ということです。

そんな前提をふまえてこの先をお読みください。

大問1(漢字)

結論から言うと、入試には特に寄せてこずに、「中2道コン」とまったく同じ形式で出題してきました。去年の4月道コンもそうでした。

4月道コンは「入試を想定した試験」ではなく、中2までの総まとめという位置づけなのでしょう。

入試を意識した出題をするのは8月道コンから、と考えてよさそう。

漢字はレベルとして標準的で、中1・中2が難しめだった分、中3と同等ぐらいになっている感じです。

大問2(資料)

資料の数が中1、中2より多く、複雑化した問題になっています。

国語は比較的時間が厳しい試験ですので、大問2を丁寧にやりすぎて後半の時間がなくなるのがよくある負けパターン。

ただ、正答率じたいは高いので大問2で大きく点数を落とすこともNG。

すばやく、正確に、必要な情報をキャッチすることが求められます。

大学入試もこういう方向性なので、「情報処理マシーン」になることが求められるのが令和の時代の国語です。

問2

これはとても良い問題。

「50回」「10回」と異なる数字が出てくるので、これをそのまま書くと字数がオーバーするうえにわかりにくい日本語になるので「何度も繰り返し」のように抽象化することが必要。

また、資料は「排出量が多くなってしまう」「負荷が高くなってしまう」とネガティブな書き方をしているのに対し、解答のほうは「~ことができ、環境を守ることにつながる」とポジティブな表現に書き換えなければならない。

ただのコピペではなく、理解して脳内変換して書く必要があります。

国語はこうあるべきですよね。

問3

ア、イ、ウ、エ、オと順番に見ていくより、「開封・未開封」「常温保存可・不可」のように条件ごとに見ていったほうがスピーディですね。

大問3(小説)

出典:越谷オサム「たんぽぽ球場の決戦」

1971年東京都足立区生まれ、埼玉県越谷市在住。学習院大学経済学部中退、マクドナルドで週5日、1日8時間アルバイトをする生活を29歳まで続ける。

2001年、第13回日本ファンタジーノベル大賞に応募した「アパートと鬼と着せ替え人形」(未発表)が最終選考まで残るも落選。その後は応募せず出版社で本の改装作業のアルバイトをしていた。

2004年、第16回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞受賞作『ボーナス・トラック』でデビュー。

2011年、ミリオンセラーとなった『陽だまりの彼女』文庫版が啓文堂主催「2011年 おすすめ文庫大賞」を受賞した。

なかなかの文章量です。

大学入試もそうですけど、とにかく分量を増やして、熟読する暇を与えずにハイスピード処理させる傾向がどんどん強まっていきます。

ただ、ボリュームが多いかわりに内容に複雑さはなく、かつ問5まですぐ近くに解答根拠があり、問4は設問の指示も親切で誘導的なのでどれも答えやすいと思います。

問6はともかく、問5までで理解できない問題があるのであれば国語読解の基本的なスタンスじたいが間違っている可能性が大きい。

問6は全体的な内容を答える問題なので、他の問題より一歩レベル高いです。

「変化」を答える問題なので、「前」と「後」と「変化の原因」が常に解答の3要素になると思ってください。

大問4(評論)

出典:前田英樹「愛読の方法」

1951年9月4日大阪府生まれ。

1974年中央大学文学部仏文科卒、1980年同大学院博士課程満期退学。

1985年広島大学総合科学部専任講師、1987年助教授、1991年立教大学文学部フランス文学科助教授、1994年教授、2006年立教大学現代心理学部映像身体学科教授。2017年定年、名誉教授。

フランス思想、言語論が専攻。

これも結構なボリュームですね……

だいたい、評論が重いと小説が軽く、逆もまた然りなのですが。

今回、タイムアップで全部解けなかった人多いんじゃないかなぁ。

内容も面白いのでじっくり読みたいテキストなのですが。

面白いのですが、特に3段落までが随筆的でやや論旨が散漫な印象もあり、問3の指示語をまとめるのにかなり苦戦するのでは。

要するに4段落だけをまとめて、主語を「本を読むこと」に置き換えれば問3の答えになるのですが、1~3段落の内容が4~5段落と関連がありそうで無いので、1~3段落の内容を中途半端に入れ込もうとした結果日本語が崩壊してしまうケースが多かろうと思います。

読解力が十分ある人には秒殺に近いレベルで解ける問題ですが、読めてないと何もできずに白紙で出すことになりそうですね。

この後も「私たちの精神から時間を脱落させる」などの哲学的表現、「人をタガの外れた操り人形に仕立てあげる」という難解な比喩、どうみても高校受験レベルを超えた文章です。

今の大学入試ほど難しくはないですが、「2000年代の中堅私立大学入試」というレベル感と言えばいいでしょうか。

大問5(古文)

出典:「十訓抄」

鎌倉中期の教訓説話集。「十訓」こと十ヶ条の教誡を掲げ、古今和漢の教訓的な説話約280話を説く。

口語訳は解答解説に書いてあるので道コンレビューでは省略します。

古文にしてはボリュームは多めですが、読解はほとんど注釈を読めばそれで済んでしまうので、さほど難しくはないです。

ただ、問2の解釈をア・ウと間違えそうですね。

「何でも盗んでくれ(ただし命は助けてくれ)」と考えてしまうとウになるし、海賊を改心させる結末を用光が予測していた、と考えてしまうとアになる。

ただ、7行目に「今が死に際だと思った」という記述があるので、どちらも否定されるわけです。

全体を通して

ボリュームは多めですが、内容的には評論はなかなか厳しいものの、全体的には標準ぐらいかな、と。

ただ、二極化しそうな気がします。

十分な(高校生になっても困らないような)読解力を備えている人は余裕で90点ぐらい取ってくるでしょう。

ただ、そうでない人は50点すら怪しくなってくる。

あと、3学年と通して言うと、中1<中2<中3で難易度がきちんと上がっていくように統制されていますし、今回からちゃんと学年を通して全体を監督するポジションの人が就いたのかな?? と思わせる内容になっていました。

偶然なのかもしれませんが。

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