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2026.02.08
今回より、北海道公立高校入試についてのレビューを翌年2月に詳細に書くスタイルに変更しました。
かわりに、今回から公立高入試に限り5教科のレビューを書きます。
よろしくお付き合いください。
今日は国語です。
「評論、小説のうちどちらか片方しか出さない」
という意味のわからない出題形式が採用されてから久しいですが、今回から
「古文が大問の座から転落し、大問1の一部に格下げ」
「対話文が大問に格上げになり、実用系文章が2つ大問になる」
という、さらなる改変が入りました。
なんか、問題作成チームに変なコンサルか何か入ってませんか?
賛否両論ある今の大学入試、共通テストの方向性を、さらに過激化させた全国でも例を見ない先鋭的な出題になってきている感が。
この方向性がさらに加速していくのでしょうか。
問4
他のイ~エの選択肢を入れたい場合、どの接続語を使えばいいかを考えるとよいでしょう。
間違った選択肢からも学びを得られる人は強いです。
問5(古文)
出典:「宿直草」
延宝5年(1677年)に刊行された、江戸時代前期の代表的な怪談集・説話集(仮名草子)。
耳なし芳一の原話の一つとも言われる「小宰相局の幽霊の事」など、武士の物語や妖怪・奇談を収録しており、怪談文学の発展に影響を与えた作品とされる。
現代語訳
ある人が、五月雨(梅雨)の晴れ間に、里をたどる道をゆく 。月は薄い浮雲に包まれ、芝生に露が降りて、(それが)繋ぎとめていない宝石の数(のように散らばっている様子)は、崑山もこのようであろうかと思われるところに、眺めもいっそう(広々とした)長い川を南に向かってゆく 。芦もまばらに刈る沢の、区別もつかないところに、土手に沿って白い犬がいる 。小石をもって追えば、ひたすら逃げる 。静かにゆけば犬も静かに、止まれば犬も止まっている 。こうして追うと思いつつ、十四、五町(約1.5km)ゆく 。一声吠えることもない 。それより川の土手には沿わず、自分が行く道は横(の方)であったので、犬が見えなくなる 。これはどうしたことかと、また元の方へ戻って見てみれば、犬がいる 。不思議に思うところに、何の特別なこともない 。濁り水に(映って)曇った月の光が、移動していたのであった 。犬と思ったときは、月とは見えない 。月と納得して、どれほど犬に見なそうとしたけれども、犬とはまったく見えないのである 。一心が向かうところは妙なもので、(ただの月の影に)十四、五町迷った 。正体を知った後は、迷ってみようと思ったけれども、迷えない、と(その人は)語った 。
独立した大問から格下げはされましたが、注釈も減り、内容的にもやや以前より難易度増している感があります。
だったらなぜ格下げしたのだろうか……
そもそも(1)が案外難しいと思う。
比喩であることがわかればいいのですが、「玉のような汗」みたいな表現も今ではあまり使わないでしょうし。
(2)も、イも不思議と言えば不思議ですからね。ただ、あくまで「今の傍線部」が何を求めているかを考えることが大事で、内容として本文と一致していれば何でもよい、というわけではない。
(3)も、アがいやらしい。この「迷う」は「迷子」ではないのはストーリー上明らかです。「気の迷い」的な意味の「迷う」であることがイメージできればOK。
出典:佐々木宰・福井凱将「原体験としての造形-イメージの形成と遊びとしての表現」
文章は比較的平易な内容で読みやすく(前半2/3は)、道コンと比較的も標準~やや易しめに位置するレベルかな、という感想です(問7以外)。今回の平均点が大きく上がったひとつの大きな要因でしょう。
問2
これ割と難しいかも、と思ったら正答率72.2%とかなり高い。
いまの中学生はこういうのは得意なんですね。ただし、次の問3がわりと壊滅的。リテラシー的な判断能力には長けているけれど、知識面をストレートに突かれたり、自分でゼロからアウトプットしろと言われると非常に弱い。
問4
「~ではない」という否定形の主張を見たら、「じゃあ、何なの?」と肯定形で言い換える習慣をつけるとよいです。そうするとこの問題はそのまま答えが見つかるはず。
(本文に出てくる順番と、穴埋めの順番が逆になっているのが意地が悪いけど)
問5
「本文に書いてない具体例を考える」思考法も、国語ができるようになるには必須だとわたしは思っています。問4、問5はすごく問題が「教育的」でいいですね。国語ができるようになるにはどんな思考が必要なのかを、問題を通じて受験生に伝えている感じがします。
そうすると、塾もこれをふまえて対策してくるでしょうから、生徒たちの思考がより研ぎ澄まされたものに進化していく。理想論に過ぎる気もしますが、入試問題と指導者の間の関係はこうあるべきではないかと昔から思っています。
問7
問7だけ難易度が爆上がりで、北大2次試験の大問1・問1で出ても別におかしくないレベルでは……(大問1・問1ですから、そこまで難しいわけではないです)
正答率も納得の3.1%で、中間点取得率ですら25.4%。
試験戦略だけで言えば、記述ひとつ取れなくても他をしっかり取ればいいわけですから、ここで泥沼にはまるよりは大問3、大問4に進んでしまったほうが賢いともいえます。
この問題とちゃんと戦うには、傍線部の「表現が、イメージ形成の過程で、重要な役割を果たしている」という内容を強く意識して、解答の出発点にすることです。
内田信子氏の談話はかなり複雑なので、こっちを出発点にするとほとんどの中学生にはお手上げでしょう。あくまでも「表現が果たす役割は何か?」という問いから出発したほうがいい。
問1
藤田さんのキャラクターが立っていますね。
そこは普通「私の料理の腕なんかじゃなくて~」と謙遜するところでしょう。
問4
これを長く複雑にしたかったから大問化したのでしょうか。
別に大問4の問3があるんだから、同じような問題2つも必要ないと思いますけどね。
というか、この模範解答を本当に発言していたとしたら、ただのオウム返しマシーンでめちゃくちゃ会話として不自然ですよ。
だったら、英語の長文問題でよくあるように、後日レポートにまとめるとか、日記を書くとか、そういうワンクッションを入れればいいのに。
問3
A これも大問3・問4と同じで、模範解答を空欄に入れるとしつこくて不自然になるのが非常に気になります。後ろの「この2つの国で生活用水の用途の割合は似ているのに」が模範解答と完全にダブるので、なぜか同じことを2回言った人になってしまうし、でもこのセリフがないと問題が成立しない。問題を成立させるためだけの強引な展開になってしまっているわけです。
B だったら、なんで日本の7倍使えるアメリカが日本より使用量低いのか。シンガポールはどうなのか。まったく論理的必然性、整合性がないし、対話文じゃないから誰も浅川さんに突っ込まずに話が淡々と流れていく。
というか「使用用途が似ているなら、きっと使用量も似ているはずだ」という最初の仮説じたいがおかしいわけですよ。比率と量なんて何の関係もない可能性が十分にあるわけで。
これは問題としてちょっとクオリティがヤバすぎるのでは……
浅川さんのアホなことを言っているのを、なぜ受験生がわざわざ忖度したうえでまとめてあげないといけないのか。こんな問題を入試で解かせる意味がどこにあるのか。
56.9(前年46.4)
いや、ちょっとひどいなぁ、大問4。
難易度どうこうじゃなくて、あまりに中身がなさすぎる。
大問2は良い問題なのに「新傾向」がこのザマでは、素直に昔の形式に近づけたほうがはるかに良いのでは? と思わざるをえないです。
別にこういう新傾向を否定するわけではないですが、通常の国語の問題よりもよほど良い問題を作るのは難しいはずなんですよ。
先進的な見た目に見せかけたいだけで、肝心の問題クオリティには興味がないのかな、と思ってしまう。
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