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2026.02.04
新谷です。
今回は橘田先生に乗っかる形でおすすめの本を紹介できればと思います。

【あらすじ】
舞台は京都、主人公はなんと「狸」。
ここでは古来より、人に化けた狸と天狗が、人間社会に紛れて暮らしていた。
下鴨神社の糺ノ森に暮らす狸の名門「下鴨家」は当主の下鴨総一郎が狸界の頭領「偽衛門」を務めるという有名な一族。
だが、その偉大な父・総一郎は人間の手により狸鍋にされ、帰らぬ狸となってしまった。
今作の主人公、矢三郎は、遺された「下鴨四兄弟」の三男。
父の失脚により増長した宿敵「夷川家」が幅を利かせる京都の街を、一族の誇りをかけて、兄弟たちと駆け廻る。
しかし家族はみんなへなちょこで、ライバル狸は底意地悪く、さらには落ちぶれ天狗の「赤玉先生」と人間の美女「弁天」とのトラブルにも見舞われ、四六時中波乱万丈。
「世紀の大騒動を、ふわふわの愛で包む、傑作・毛玉ファンタジー」。
作者は『夜は短し歩けよ乙女』や『四畳半神話大系』、『ペンギン・ハイウェイ』の森見登美彦です。
どれも映像化されているので、もしかしたらタイトルに聞き覚えある人もいるのではないでしょうか
今回の『有頂天家族』もアニメとして映像化されており、私も先にそちらを見てから原作小説を購入したという口です。
描写やキャラクターなど、細かく語れば沢山あるのですが、今回はざっくり2つに分けてお話できればと思います。
本作は矢三郎の一人称視点で物語が進むのですが、その語りが舞台が現代にもかかわらずどこか古風で、独特な言い回しながらリズム感があり、思わず口ずさみたくなるようなフレーズも沢山出てきます。
(個人的にテンポが講談や落語などのイメージで、読んでいると実際に出囃子の三味線や太鼓の音が聞こえてきそうな時があります)
前回、小説を読むのが苦手な人の話を少ししましたが、そもそもこの『有頂天家族』を真っ先に紹介したいなと思ったのは、個人的にこの作品が他のメディアに頼らずとも文章自体が楽しく読めるもので、苦手な人も一度読んでみてほしいと思ったからです。
勿論、無理なものは無理な場合もありますが、よろしければ試してみてほしいものです。
物語を語る主人公の矢三郎は「狸」であるので、感性が人間とはちょっと違うのが読んでいて面白いところです。
あらすじの通り、父親が人間に殺され食われたという重い過去があるのですが、言葉通り「食べちゃいたいくらい」狸が好きな大学教授と友達になってしまったり、父を狸鍋にして食べてしまった女性に惚れてしまっていたりなど、本来憎むべきと理解している相手のことも好きになってしまうし、他にもうっかり騙されて自分も狸鍋の危機に見舞われたりなど、人間から見れば愚かなほど純粋で、のほほんとした性格をしています。
個体差はあれど、これは矢三郎だけではなく、他の兄弟狸や意地悪なライバル狸たちも含めてそうです。
作中ではそんな狸たちの性分を総じて「阿呆の血」と呼んでおり、時には辛いこともありながら、「面白きことは良きことなり!」をモットーに日常を繰り広げる様が魅力に感じられます。
本シリーズは全三部作の予定で、現在2巻まで刊行されています。

(ハリポタなどと同様に一巻ごとに話自体は完結するので、まずは1巻だけ読んでみるということも可能です)
また、本作はアニメ化されていると前回にも述べましたが、そちらも映像音声ともに素晴らしく、先述した矢三郎の口上も、テンポが良い文章が実際に音になるとまた小気味良く、何か作業する際のBGMにも使えそうです。
原作小説はもちろん、他メディア媒体の方も機会があれば是非見てみてください。
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