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テストレビュー

2023年北海道公立高校入試 国語レビュー

2023年3月2日実施、北海道公立高校入試のレビューです。

北海道公立高校入試 問題と解答

大問1(漢字・知識・対話)

問1

「多忙」「敏腕」「臨む」の3つ。

なかなか嫌なところを突いてきたのでは。

「臨む」と「挑む」の区別がついていない生徒も多そうですし、「敏腕」と「剛腕」あたりも混同しやすいか。

問2

「はんとう」って「半島」ですね。

一瞬何を言ってるのかと思ってしまった。皆さんすぐわかりましたかね??

「誤り」も「謝り」が同音異義語であるのでいやらしい問題。

「拝観」は難しい。これはできない生徒のほうが多いのでは。

漢字、全体を通してかなり難化しています。

去年はなんてことなかったんですけど。

問3

ことわざ、慣用句を問う問題は今まで少なかったですが、出したほうがいいですよね。

ボキャブラリー増やさせる方向に試験問題をもっていくのは大賛成。

ただ、(1)の文ちょっと日本語としてどうでしょう。

「縄跳びの難しい技を披露した彼は、隅に置けない」

こんな日本語の使い方、します??

「隅に置けない」というのは、辞書で引くとこんな感じ。

・思いのほかに知識・才能・技量があって、油断できない。 

・案外に世間を知っていてばかにできない。

「縄跳びがじょうず」という非常に子どもらしい世界観の例文とマッチしないと思うんですけどね……。

問4

主語を入れ替えて、意味を変えないように書き換える技術は今後「高校の英作文」で必須のスキルなんですよね。

そういう意味で、このタイプの問題は毎年出して定番化してほしいぐらいです。

問5

特にこれといって特徴のない対話問題だと思います。

取り立ててコメントすることも特に。

問4は英語の「受動態」でトレーニングできているでしょうから、上位層にとっては大したことないと思いますし、問5はごく標準的。

ただ、問1~3がどれもレベル高めで、いきなり出鼻をくじかれた生徒は多いことでしょう。

大問2(評論)

2月道コン、大的中ですね。

小説を排除し、今年は評論のみの出題。

これで、来年がどうなるかまた予想が難しくなってきました。

・来年も評論のみ、小説は今後基本的に出題されない。

・来年は小説のみ、隔年で評論・小説を出す?

・来年はバランスを取って両方出す

どれもありえそうです。

というか、こうなったら来年は評論・小説どっちともつかない随筆を出してさらに事態を混乱させてほしい。

出典:藤田正勝「哲学のヒント」

今回からできるだけ著者プロフィールを載せてみようかと。

藤田 正勝(ふじた まさかつ、1949年 – )
哲学者・思想史研究者。京都大学名誉教授。
1972年、京都大学文学部哲学科卒業
1978年、同大学大学院文学研究科博士課程単位取得満期退学。

「もの」と「こと」というのは、大学受験では正直使い古されたレベルでよく見かけるテーマですが、高校受験で、しかも去年小説しか出さずにおいていきなり哲学を出すのはハードルの引き上げ方がなかなかひどい。

しかも「もの」と対比されて「こと」という概念があるにもかかわらず、文章の前半にはまったくカギカッコつきの「もの」というフレーズとしてストレートに登場しないんですよ。

だから、過去に似たような文章を読んだことがあって「もの」vs「こと」という対立性を知っている生徒ならともかく(そんな生徒がそうそういるはずはない)、そうでない大多数の生徒は「結局何が言いたいのか」がなかなか捉えにくかったはずです。

1段落

鉄球の具体例

「もの」として見る……ただの丸い形をした物体

「こと」として見る……色、手触り、輝き、重みも含めた現象

鉄球を落とす具体例

「もの」として見る……ただの落下運動

「こと」として見る……「しまった」という思い、痛みへの恐怖なども含めた現象

この2つの例を通じて、

「もの」……ただの物理的存在・物理的運動

「こと」……「もの」と、人の思いや感覚が結びついた全体

という違いを整理できれば、前半戦は勝利です。

問2

今説明した内容理解をストレートに問うのではなく、「表現のくふう・特徴」を最初に聞いてくる。

こういう問題ってラストに出すことが多いですが、最初がこれなんですね。

逆に言えば、今説明した内容を理解していなくても「比喩」であること(アが✕)、「断定していないこと」がわかる(ウが✕)だけでほぼ答えが出せますから、正答率はそれなりに高いと思います。

エは「だったら最初から比喩を使うな」という話なので、こんなのが正解になるわけがない。

問3

こっちで、1段落の内容理解を問うてはいるものの、これもストレートに問うている問題とは言えないですよね。

要するに問6の記述問題でそれを書かせたいから、問6以外の問題で選択肢に具体的な説明を書きたくないということでしょう。

問6の記述問題ありきで、問6を邪魔しないように他の問題が作られている。

2~4段落

すべて1段落のリピートにすぎないので、1段落が理解できてしまった人にとってはハイスピードで読み進めていけるゾーンです。

5~6段落

「こと」……人の感情・感覚と結びつくので、その在り方は人によって違う。ここは当たり前の話ですね。

7段落

「こと」……人によって異なり、時とともに移り変わっていく「あいまい」な性質。

・そんな曖昧なものは、実際のこの世界を考えるときには排除すべきではないか?

・人の感情や感覚は人の内面だけの問題で、「もの」自体とは関係ないのではないか?

7段落で、これまで「こと」について肯定的に述べてきた筆者への「反論」が登場する。

筆者の意見に対する「反論」なので、8段落以降で必ず「再反論」が行われます。

……ただ、このへんから話が抽象的になっていき、ちょっと高校受験レベルとしては厳しい水準に入っていきます。

8~10段落

「もの」はさまざまな記憶、思いと結びついて存在しているので、分けることはできない。よって、7段落の考えはおかしい(再反論)。

1~4段落の内容をただ繰り返しているだけで、7段落の反論に対する有効な再反論になっているようには見えませんが……。

問4

空欄前後の日本語が誘導的、恣意的で若干不自然。

空欄①のうしろ「~に対して」というところから、空欄①には7段落の「反論」部分が入ることを見抜く(上の青字部分)

で、それに対する再反論が空欄②なので、8段落以降で、上の青字部分と逆になる内容を探して組み立てればOK。

11段落~

言葉がさらに難解になり、このあたりでギブアップしてしまう生徒が増えたのではないかと。

「こと」の第一次性

=今まで説明してきた「こと」中心の考え方が、「もの」中心の考え方よりも優先される

となると「人の主観によって変化する曖昧な『こと』を、客観的な物理現象である『もの』よりも優先すべきだ」という主張に

も読めてしまうので、

科学的なものの見方=それぞれの視点に縛られない三次元空間のなかに置き直して見る見方

つまり「もの」中心の味方も否定せず、これはこれで重要な見方、と中立的なポジションに引き戻そうとしているわけです。

逆に「もの」を絶対視して、人の感情や記憶と結びついた「こと」を否定する見方を筆者は批判しようとしている。

「もの」として物理的・客観的に見ること=傍線部4と、「こと」として人の主観・思い・記憶との結びつきを含めてみることを共存させて考えていくべきだ、というのが最終的な主張となります。

問5

要するに、傍線部4=人の思いや記憶を排除した、客観的で科学的な見方、という意味が取れているかどうか。

それがわかってしまえば納得がいくと思います。

(1)当塾のチェックテストお得意の「具体例」問題。これはうちの生徒は慣れていたのですが、そもそも傍線部4の意味がちゃんと取れたのかどうかが心配。

(2)の「複数テキスト」問題も……今回の評論の文章レべルで、さらに複数テキストまで北海道の中学生にやらせようというのはちょっと厳しいんじゃないですかね。

問6

「自分自身の経験を例にして」という、なかなかおもしろい記述問題。

こういう問題もうちはよくチェックテストに出すので、なんかFiveSchoolsのチェックテストみたいな作りですよね。今回の大問2。

しかし、全体的なレベルでいうとかなり厳しいと思います。

大問1もきついので、大幅な難化ということになりそう。

大問3以降はどうでしょうか。

大問3(古文)

出典:本居宣長「玉勝間」
本居宣長(もとおり のりなが、1730年6月21日-1801年11月5日)は、江戸時代の国学者。
主要な作品として『古事記伝』『源氏物語玉の小櫛』『玉勝間』がある。
『玉勝間』は1005段よりなる随筆。

現代語訳
花は桜(が良い)。桜は、山桜で、葉が赤く光って細いものがまばらに混じって、花がたくさん咲いているものは、他に比べるものがない(ぐらい美しく)、つらいこの世のものとも思えない。葉が青くて、花がまばらについているのは、この上なく劣っている。だいたい山桜というものの中にも、いろいろと種類があって、細かく見てみると、それぞれの木ごとに少し違ったところがあって、完全に同じものはないようである。また、今の世の中に「桐がやつ」の桜が八重咲きになったり、一重咲きになったりというのも、(普通の桜と)様子が違って、とてもすばらしい。完全に曇っている日の空に(桜を)見上げたときは、花の色は鮮やかでない。松であっても、何の木であっても、青々と茂っているものの手前側で咲いているのは、(桜の花の)色が映えて、特別に(すばらしく)見える。空が清らかに晴れている日に、日光が射す方向から見たものは、色合いがこの上なくすばらしく、同じ桜とは思えないぐらいだ。朝日が射しているときはもちろん(素晴らしいが)、夕日がであっても(素晴らしい)。

後半の「松」の話が出たあたりから「桜」という主語がほぼすべて省略されてしまうので、「桜」から「松」の話へと完全にシフトしたものと誤読した人が多いのでは。

問1

「たぐふ」=「類ふ」という字を連想できたかどうか。

「類=たぐい」という現代語を使いこなせない生徒にはちょっと厳しい。

古文では、このように「自分で漢字を当てて読む」という作業がものすごく重要です。高校生になるとさらに重要。

そのためには、まず現代語で漢字の知識を十分に持っていないといけない。

問2

むしろ問2のまとめをヒントに、本文の解釈をしていったほうが誤読なく読めたと思います。

最近、こういう「図でストーリーをまとめる」問題が連続して出ているので、うまく活用していきましょう。

たとえば、先ほど述べた後半部分(「松」の話)で、あくまで「桜」が主役の話には変わりなく、「桜」の背景として「松」があるだけだということに、この問2のまとめ部分を読むことで簡単に気付くことができます。たとえ本文読解の段階で誤読していたとしても、問題文を通じて誤読を修正できるチャンスがあるのですね。

問3

ア「にほひ」は、古文ではそのまま「匂い」という嗅覚的な意味になる場合もあれば、今回のように「色合い、美しさ」という視覚的な意味もあるのです。普通、中学生で習う知識ではないのでちょっと厳しい気もしますが、ただ問2のまとめに「嗅覚」の話が一つもない時点で、これは違うな、と判断はできる。

まぁ、プラス「日光が当たっても特に香りって変化しないよな」という、常識的な判断から✕にできた生徒も多いことでしょう。

古文は標準的なレベルではないかと思います。

大問4(資料と対話)

うーん、これといってコメントすることが何もない普通の問題ですね。

大問1と2で難易度ブチ上げておいて、大問3と4で調整した格好です。

……大問2の時点で心が折れていなければいいのですが。

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