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テストレビュー

2024年北海道公立高校入試 国語レビュー

2024年3月5日実施、北海道公立高校入試のレビューです。

大問1(知識、資料)

問1(2)「諭す」が多少難しいか。

問2 確実に得点したい標準的レベルだと思いますが、「就職」の「就」は意外と書けない??

問3 北海道入試から消えて久しい「韻文」ですが、今回は俳句がそれなりの規模で復活しましたね。

大学入試でも詩を織り交ぜた出題が見られるようになり、このへんで韻文復活の兆しがあるのかもしれません。近いうちに詩が復活することもあるのかな、と。

「枯野」「炭」ともに、ストレートに「冬」だとわかる言葉とは言えないので季語の問題としては少し頭を悩ませるか。

問4 資料もなく、シンプルな会話だけの問題なので、大問4に時間を十分に残すことを考えると1~2分程度で完答してしまいたいですね。ここで時間を取られるのは避けたい。

レベルとしては標準的なものだと思います。

大問2(小説)

なぜか「評論」「小説」のどちらか1題しか出題されないという謎仕様になった北海道入試、1年目が小説、2年目が評論となって、さて3年目はどうなるか。

わたしは「評論」で固定してくるんじゃないかなぁ、と思っていたんですが、結局「小説」でしたね。2月道コンの予想が正しかった。

まぁ、前々から言っていますが、このシステム決していいことだとは思いませんけどね……。

これで、来年の受験生は「絶対次は評論」と思うでしょうし(実際おそらくそうなる)、小説を勉強するモチベーションは確実に下がりますよね。

逆に言えば、今年の新中2は「どうせ自分たちのときは小説しか出ない」と読んで、評論を積極的に取り組もうとしない生徒(取り組ませない塾)も出てきかねない。

結局、大学受験には両方とも使うわけですからね。

目先の公立入試だけに囚われて、高校進学後のことを忘れてしまわないよう注意喚起しておきたいところです。

出典:青山文平「本売る日々」
1948(昭和23)年、神奈川県生れ。早稲田大学政治経済学部卒業。経済関係の出版社に18年勤務したのち、フリーライターとなる。2011(平成23)年、『白樫の樹の下で』で松本清張賞を受賞しデビュー。2015年、『鬼はもとより』で大藪春彦賞、2016年、『つまをめとらば』で直木賞を受賞。2022(令和4)年、『底惚れ』で中央公論文芸賞、柴田錬三郎賞を受賞した。

ボリュームは相変わらず多いですが、少なくとも去年の評論よりは内容はつかみやすいですし、話のあらすじとして重要なのは、

・西島が先生から無断で口訣集をパクった

・西島が私に返しにいくよう頼む(自分では合わせる顔がない?)

というリード文からの前提状況がひとつ、次に

・私が誠心誠意先生に事情を話す

・先生が私をねぎらってくれる

・私が、先生が西島のことを許さないと誤解する

という前フリがあって、最後に

・そもそも、世の中の役に立つなら誰が持ち出そうとかまわない

という先生の考え方が、いわゆる話の「オチ」のように登場する流れです。

この「オチ」が理解できればあとはすべてスムーズに読めますので、傍線部4までの意味が理解できればあとは容易です。

いつも生徒には言っているのですが、文章が長いからと言って「均等に」スピードを上げて文章を読もうとしては絶対にいけない。

冒頭部分を読むときは、話の状況も人物像も何もつかめていないのだから、慎重に時間をかけて読む。

「あ、そういう話なのね」と理解できたら、あとはどんどんスピードアップして読む。

これが正しい「スピードアップ」の仕方だとわたしは考えています。

問3 これは……非常に物議を醸しだしそうな問題ですね。

まぁ、流れ的に「ひる」しかないでしょうし、「まぁ文脈的と問題の指示的に『ひる』しかないよな」と思って答えた生徒はそれないにいるとは思います。

資料の十二支を読み取らせることで、最近流行の「資料と文章の融合問題」をやりたかったのだとは思いますが、ただ「午=12時」とだけ読み取らせると正答率がかなり高くなってしまうので、もう一ひねり加えようとしたら勢いあまった三ひねりぐらいしてしまった、という感じがします。

大学受験ならなかなか面白い問題だな、と思う気もしますが、ちょっと公立高校入試では厳しいのでは。

問4 先述のストーリーを把握していれば比較的容易に答えられると思います。

問5 ウの選択肢が間違えやすい。

後半はウもエも問題ないので、傍線部よりも後ろの部分を読んだうえで、前半を精査できたかどうか。

問6 後半の要約に等しい記述問題で、前半の流れからも素直に推測できる内容なので、しっかり満点近くをキープしたいところ。これを高得点取れるかどうかで勝負が決まる、ぐらい重要な問題だと思います。

問7 取ってつけたような「複数テキスト」問題で、共通テストの悪い影響が出ているな、と思います。

文章内容の主題とちゃんと関係がある「複数テキスト」なら意味もあると思いますが、こういう無理やり引っかけただけの「複数テキスト」問題はわたしは好きじゃないです。

ただ、入試戦略的に、こういう問題は「問題文の指示に違反していない限りは正解」になるのが常ですので、点数じたいはそれほど取りにくくはないです。とにかく「問題文の指示に合うように」何かを書けばいいだけなので。

(それも書けない生徒が多いのは承知なのですが、そこは「条件に沿っていくつもアイデアを出す」トレーニングが必要です)

問3と問7がかなり癖はあるものの、それ以外の問題はごくオーソドックスなので、問3を「よくわかんないからパス」、問7を「条件に合うように適当に何か書いておけばいいか」とサラッと処理できた人はかなり高得点が期待できるかな、と。

逆に問3と問7、特に問7で沼にハマってしまうと危険。

数学のように「これはムリだな」と思う問題をスルーする能力も必要になっている感があります。

大問3(古典)

出典:「蒙求」
伝統的な中国の初学者向け教科書である。古人の逸話を集めて韻文で並べた故事集。日本でも平安時代以来長きにわたり読まれた。現在でも広く知られる「蛍雪の功」や「漱石枕流」などの故事は蒙求によって学ばれることが多い。

現代語訳
伯牙は上手に琴を弾くことができ、鍾子期はそれをよく聞くことができた。伯牙が琴を弾いて、高い山を心に思い浮かべた。鍾子期が言うには、「いいなぁ、高くそびえた泰山のようだ」と。伯牙が琴を弾いて(問1)、流れる水を心に思い浮かべた。鍾子期が言うには、「いいなぁ、広々として江河のようだ」と。伯牙が思い浮かべたことを、鍾子期は必ず理解した。

「呂氏春秋」に書かれていることには、鍾子期が死んで、伯牙は琴を壊し弦を切って、生涯二度と琴を弾かなかった。(伯牙が)思ったことには、その人のために(琴を)弾く価値があるだけの人がもういなくなってしまった、と。

問1 これはなかなかおもしろい問題ですね。

全体の流れをつかんでいれば②しかないですが、全体の流れをつかむ問題ほど正答率低いことが多いので、案外正答率低く出るのかも。

問2、問3(2)もあらすじが理解できていれば秒殺なので、うまくストーリーつかめたら数分で終わらせられます。

力のある生徒はサクッと短時間で点数取ってくる反面、古文のストーリー把握が不得手な生徒は時間かかるわりに得点が取れず、差がつく大問になったのでは。

漢文出典なのに、書き下しが出ないで熟語の構成が出るというのもある意味斬新です。

大問4(資料と対話)

問1

アとウで悩むと思います。

ア……好奇心を高めるため

ウ……関心を持たせるため

これはどちらでもOKですよね。後半部分が、

ア……文字の配置によって企画内容を説明する工夫

ウ……最小限の言葉で展示テーマを示す工夫

こう比較すればウのほうがより適切だとはわかると思うんです。

アは「内容を説明」と言っていますが、チラシ表に「どんな内容なのかを説明」している箇所はないので。

ただ、ウなしでアだけ見てみれば「アート×渦」なのだから「アートと渦を掛け合わせた展示」だということはわかるので、これはこれで「内容を説明」していると言えなくはないですよね。

なので、ウを見る前にアを答えにしてしまった生徒で、ウをあまり検討せずにそのまま提出してしまうケースが多いと予想しています。

問3は道コンでよく扱うようなオーソドックスな問題なのですが、案外問1と問2でやられた生徒多いのでは。

(追記)

まだ精査できていないのですが、この問3に大きな問題があるのでは?

という話になっています。精査した後で追々記するかもしれません。

(追々記)

鷹取先生が先に記事化してくれたので、こちらをお読みください。

問4も、これも大問2の問7と同じで、いかに「条件に合うものを手早く書くか」が勝負の分かれ目です。

特に最終問題で時間がかなり限られた状況で書かなければいけないので、内容にこだわって質の高いものを書こうとしすぎると逆に何も書けなくなります。

とにかく「条件に合えば何でもOK」ぐらいの気持ちで取り組んでみることが重要です。

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