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テストレビュー

2025年1月 中3道コン国語レビュー

大問1(知識、対話)

問1~2 標準的~易しめレベル。

問3 いま、ちょうど「基礎語彙テスト」の取り組みを行っていますが、こういうボキャブラリーが本当にいまの世代は貧弱になっているので、どんどんこういう問題出していってほしいですね。

問4 これもとてもいいですね。

修飾、係り受けを理解していないと英語にも相当な悪影響が出るので、どんどん出すべきだと思う。

「すべて」選べというのもいいですね。

問5 大問4でも類似の形式が出るので、こっちは易しめなレベルに毎回抑えられます。

(1)中1でも言いましたが、狙われるのは「AのためB」「AなのでB」のように、会話の中で因果関係を示す部分です。

この(1)もまさにそのパターンですね。

「①のため一体感が生まれない」「②のため卒業式で何もできない」

(2)これも「Aなので、もう少しB」の形なので、結局(1)と同様の因果関係問題。

そして、空欄全体の直前に「このままだと手間がかかりすぎる」という因果関係があるので、なぜ手間を惜しむ必要があるのかその理由を発見していけばいいということです。

知識、対話問題ともに適切で、特に知識問題がいいところを突く良問だと思います。

大問2(小説)

出典:辻村深月「しあわせのこみち」
1980年2月29日生まれ。山梨県出身。千葉大学教育学部卒業。
2004年に『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。他の著作に『子どもたちは夜と遊ぶ』『凍りのくじら』『ぼくのメジャースプーン』『スロウハイツの神様』『名前探しの放課後』『ロードムービー』『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』『V.T.R.』『光待つ場所へ』(以上、講談社)、『太陽の坐る場所』(文藝春秋)、『ふちなしのかがみ』(角川書店)など。
2010年に『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』が第142回直木賞候補作となる。新作の度に期待を大きく上回る作品を刊行し続け、幅広い読者からの熱い支持を得ている。(Amazon紹介文より)

去年の長文問題が小説だったので通常でいけば次回は評論が出るはずですが、あえての小説出題できました。

ということは2月道コンが評論なのでしょうね、きっと。

昔でいうと「ハチミツとクローバー」的な、大学を舞台にして(美大ではないようですが)、さらに同時に男女関係がクロスする予感も感じさせる、中学生からするとかなり「子どもらしくない」ストーリーです。

中2の小説もなかなか攻めた出題でしたが、別方向に攻めた出典ですね。

内容的には、ひねくれた人物の痛々しい一人語りが主体で進んでいき、主人公らしき人物が横でその話を同調しながら聞いているというだけの内容なので、ひたすら田辺の考えている複雑な内容を前から順番に把握して整理していく地道な読解作業となります。

ただ、後半に出てくる「屋代やメグミに対する態度」を、まったく逆にとらえてしまった人もかなり多いのではないでしょうか。

極端にいえば、田辺は「屋代やメグミ」を「絵に本気で取り組んでいないし、才能もないザコ」として見下しているわけです。

で「そんな程度のザコに、高すぎる自分の理想を押し付けても意味がない」というのが田辺の基本スタンスだと考えてみてください。

で、自分の元カノは「本気で絵に取り組んでいる人物」なので、もし元カノに絵を見せられたとして、元カノを同じようなザコ扱いして本気の意見をぶつけずにスルーする態度は取れない、ということでしょう。

元カノもそれがわかっているので、絵を描いていることを言えなかったと。

問6 採点基準Aで一切触れられていないのですが、この答案を「画家・イラストレーター」に限定しなくてはいけないのか? という問題があります。

まぁ今回はあくまで絵の世界の話だから「画業」に限定した話をしていると考えたほうが自然だと思うのですが、後ろのセリフかから判断すると「自分が夢見たもの」のように拡大して解釈することも可能だと思うんですよね。

問8 しかし、なぜここまで答えの文の形をこと細かに指定されなければならないんでしょうね。

出題者が勝手に考えた模範解答に虫食い穴を開けて、出題者が考えた順番で出題者が考えたとおりの思考をトレースさせられる作業のどこが「思考力」なのか、もう一度考え直すべきだと思うのですが。

また、この模範解答も本文に書かれている田辺の言葉をただそのままなぞってツギハギしているだけで、そもそも「なぜ絵を見せないことが、絵を本気で描くことになるのか? 絵を大事にしていることになるのか?」という当然の疑問に一切答えていないので、正直スッキリしない内容です。

この後、なぜ田辺とこの彼女が別れたのかもわかってないし、この「彼女」がいったい何を大切にしていたのか、その最も肝心なポイントが読み取れないので仕方ないのですが……

だったらこの箇所を切り取らなければいいだけの話なので、正直無理のある出題に感じてしまいます。

大問3(古文)

出典:「今昔物語集」
『今昔物語集』とは、平安時代末期に成立したと見られる説話集である。全31巻。ただし8巻・18巻・21巻は欠けている。 『今昔物語集』という名前は、各説話の全てが「今ハ昔」という書き出しから始まっている事に由来する便宜的な通称である。

問3の複数テキストがあるので、いつもの古文に比べると倍に近い量を読まねばならないし、注釈もいつもと比べると少な目。

そもそも内容じたい「なぜ和歌がうまいだけで罪が許されるのか」という点が現代人からすると意味不明なので、話が頭に入ってきにくいと思います。

資料のほうの古文も、「帝」と「少年」に何の関係があるのかが理解しにくい。

素直に内容を理解しようとすると中学生の知識では理解しきれないポイントが多すぎて、脳内が???状態になった生徒がとても多いと思われます。

これは結構鬼門になりそうな問題ですね……難易度高いと思います。

大問2もボリューム感がかなりあるので、続けて大問3までこの様子だと、大問4にかけられる時間がほぼ残らなかった人も多いのではないでしょうか。

注がついていませんが、2行目「いとほし」を「かわいそう」と訳せたでしょうか。

本来高校生で覚える古文単語でしょうが、文脈上容易に類推可能ということで注がつかなかったのだろうと思います。

問1 掛詞を直接的に問う問題は中学生では珍しいです。

「隠題」のほうは本文読めばわかるので知識問題というわけではありませんが、「篳篥」が「和歌のテーマ」だということをこの文から読み取れる中学生がどれだけいるのか……。

高校生でも間違える生徒がかなり出ると思います。

あと「序詞」が選択肢に入っていますが、これをちゃんと説明できる塾の先生どれぐらいいるのだろう。ちょっと、ここまでくると「中学レベルを逸脱した問題」と言われても仕方ないかなぁ……。

問5 そもそも「郡司=地方の有力豪族」と社会で習うわけですから、これを「身分が低い」と認識しにくいんですよね。

たしかに文章中ではハッキリ書いてはありますが、社会科的な常識がその理解を阻害する。

大問4(資料)

新紙幣とユニバーサルデザインというホットな話題を持ってきました。目のつけどころがいいですね。

そのまんま入試で出てもおかしくなさそうな問題です。

問1 よく出る問題ではありますが、選択肢がなかなか難しい。

アは「携える」と「帯びる」だから似た意味の組み合わせで、ウは「偶然に発する」だから上から下への就職。

で、エが「難から逃避する」なので、上が動詞で下が目的語の関係。よって答えはエ。

資料問題については単純に前から話を追いかけていくだけで問2は解けますし、問3も「紙幣につけた」「視覚障害」というワードから容易に答えはわかるでしょう。

問4も記述ではあるものの「1000円札と10000円札の1の字が違うことの意味」ですから、正直本文読まなくても常識的に解答は予想可能なはずです。本文から答えを探す、というのはそれはそれで国語の基本ではあるのですが、まず質問内容と状況設定から「常識的にどんな答えになりそうか」を予想することもすごく大切です。

問題としてはまったくヒネリのない素直な問題だと思うので、時間があれば多くの生徒が満点近く(問1は置いておいて)取れるでしょう。ただ、いつものことですが、時間的な余裕がどれだけ確保できたのかという問題が残ります。

全体的にはどうでしょうか。

大問1は難易度はさほど高くないですが、いい問題だと思います。

大問2は難しいとまでは言えないと思いますが、後半が内容把握しにくくかつボリュームも多く時間を浪費させられる。

大問3はちょっと中学レベルを逸脱している内容。

大問4はかなり容易。

全体的には「やや難」ぐらいでしょうか。

いや、大問2と3を平均的な中学生がどの程度点数取れるか考えると「難」まで行ってもおかしくないかも……。

普通に考えれば80点超えればもう上出来、ただし本当に得点力がある生徒は割とあっさり90点以上取ってくる、上位層の中でも差がつく問題でしょう。

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