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2025.12.16
この間高校英語のテキストで、人間の会話をテニスのゲームに喩えて述べているものを扱いました。
話題を投げかけることはテニスで言えばサーブにあたり、話題を投げかけられた相手はそれに対して適切に打ち返す(=反応する)ことが求められる。
相手が打ち返してきたら、全く新しい話題を持ち込むのではなく、相手が返してきたボールに対して同じように打ち返す。
こんな感じです。
これ、日本だったらだいたい「野球のキャッチボール」に喩えますよね。
これをテニスに喩えること自体が文化差の表れのように思えて興味深いな、と。
また同じ野球関係の話だと、最近、教育出版の国語教科書でおなじみだった「一塁手の生還」という小説を小学国語で扱いました。
今、札幌の中学校は光村の国語教科書なので、うちがテキストとして「一塁手の生還」を扱っても特に問題ないだろうと思いまして。
(これで教科書改訂でまた教育出版に戻ったら、まぁそのときはそのときということで……)
で、この小説をあらためて読んでみると、野球の基礎ルールを知らない生徒にとってはほぼ意味不明な記述が頻発するのですね。
一塁線と三塁線に珍しく真っ白な石灰が撒かれ、そこからわずか三メートルほど隔たったところに荒縄が張られた。
野球部員たちが特権のように誇らしげに持つグローブやミット、あれはなんとなく滑稽な代物に見えてしかたないが、その中でファーストミットだけは美しい形をしていると思う。
H商の先頭打者が三遊間に強い当たりを飛ばした。遊撃手が横っ飛びに好捕、足を踏んばって一塁に送球。パシッという音がしてボールがファーストミットに収まった。
わたしは少年野球経験者で、しかも幼稚園からずっとプロ野球見まくっていた人間なのでこんなものはごくごく当たり前の基礎知識なのですが、これを「本当に野球のことを一切知らない人間」が読んだら意味不明なんですよ。
このテキストを一緒に読んでいった生徒さんは、それこそ「野球というスポーツが存在している」ことぐらいしか知らないレベルで野球知識がなかったので、正直この小説の説明というよりは「野球の基礎ルール解説」のほうに時間を多く割いたぐらいです。
(普通の塾だったら問題を解くのに関係ない知識はスルーして授業を進めるところですが、うちの小学国語は問題に出る出ないにかかわらず隅々まで意味を理解することを旨としているので)
ビジネス用語で「全員野球で頑張ろう」と上司が言っても意味が通じない、というネット記事を読みましたが、みんなが家庭でテレビを見ていて、ゴールデンタイムにいつも巨人戦がかかっていた時代と今では、もはや野球は世代をこえた共通言語ではなくなってきているということでしょう。
ただ、わたしとしては割と野球から多くのことを少年時代に学んできたのもあり、案外野球を知ることは勉強にも役立つのだ、ということは主張しておきたいのですよね。
まず、「ローマ字」の話です。
日本のプロ野球以外は知りませんが、基本的に背番号のところに選手の名前がローマ字で書いてありますよね。
小学校でローマ字を習うのは3年、4年ですが、わたしは幼稚園から野球を見ていたために小学校入学前にはほぼローマ字で人の名前を全部表記することができていました。
……ただ、学校で習うローマ字と違ってヘボン式とも訓令式とも微妙に違うんですよ。
野球のユニフォームのローマ字って。
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12229867562
なので、逆に小学校でローマ字を習うときに「野球のユニフォームのやつとは書き方が違う」ことを認識しておかないと混乱のもととなります(わたしは実際混乱しました)。
とはいえ、やはり小3、小4でいきなりローマ字を知るのと比べれば、慣れの度合いがぜんぜん違うので少なくともローマ字に対する抵抗感は大きく減少するのは間違いないです。
あと、「チーム名」のこともあります。
野球を小さいころから見ていると、自然とチーム名の英語表記が目に入りますよね。
Giants, Swallows, Tigers, Fighters, Carp, Dragons,,,
こんな感じで並べていくと、先ほどの「ローマ字」とは全然綴りが違うことに自然に気づく。
「英語の表記と、ローマ字の表記というのは全然違うんだ」
ということを、誰にも教わらなくても自然と(無意識的にであっても)感じ取ることになります。
すると、小5以降で英語を習ったときに多くの人がぶつかる、
「なぜそのスペルでその発音になるんだ??」
という英語への抵抗感が多少なりとも軽減される。
また、「複数形s」の発音のこともあるでしょう。
野球のチーム名にはcarpを除いて「複数形のs」がついていますが、同じ「s」であっても発音が違います。
ジャイアン「ツ」
ホーク「ス」
スワロー「ズ」
のように。
すると、これまた何となくであっても「同じsでも、前に来る単語によって発音が変わる」ことを自然と子どものうちに感じとることができる。
英語のことばっかりのようですが、算数・数学にも良い影響ありますよ。
打率の計算をすることで「割合」がわかるようになりますし、防御率やマジックなど複雑な指標を計算してみると「関数」の感覚が身についたりもするなど。
こんなふうに、まったく勉強と関係なさそうなところで、意外と勉強に役立つ感覚や素養が身につくケースというのもあるわけです。
当然、これは野球に限った話じゃないですよね。
NBAだろうとJリーグだろうと、何にでも言える話じゃないかと言われるとそのとおりなのです。
勉強に関係なくても、いろいろと興味の種を撒いておくことが、思わぬところで知的好奇心をはぐくんだり、思考能力の成長につながったりしているのだろうな、と。
意図的に子どもの能力を引き出すのはとても難しいことで、再現性がある話とは言えませんが、子どもが何に興味を持つかなんてやってみないとわからないですからね。
できるだけ幅広く種をまいておくことと、それに子どものアンテナがヒットしたときに邪魔せずに伸ばしていくことが大事なのかな、とふと思ってこのような記事を書いてみたわけです。
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