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代表・村上翔平

旅行の流儀② おみやげ論

そもそも、今は正直ほとんど「おみやげ」って買わないんです。

というのも、一回の旅行でこれだけの人々と会うので、申し訳ないのですが全員に土産渡そうとすると「リュック1つ旅行」プランじたいが破綻してしまうので、よほど何かあるか、初めて会う人がいるか、旅程がすごく短いか、いずれかに該当するときのみお土産を買う感じです。

そんなお土産の話について、昔書いたブログを発掘したので再掲します。
個人的にはなかなか気に入っている回です。
ちょうど前回初めて名古屋に行ったときに記事ですね。

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今回、初めて車で空港行ったんですよ。

従来はずっと普通にJRでエアポート乗って新千歳まで行っていたんですが、もろもろのスケジューリングの都合上今回は飛行機の出発時刻が結構はやい。9時半。

で、我が家はわりと札幌の中でも辺鄙なところにあるもので、新千歳に行くまでドアドアで2時間近くかかるんですよね。

となると、えー、これって、6時台に起きて家出ないとダメじゃん、ということです。早く起きるの嫌じゃないですか。

一方、車で行けば家から1時間ちょいなんですよね。これならまぁ7時~7時半起きでいい。
「いや、大して変わらないじゃん」と思うあなたは一般的常識的な感性を持ち合わせています。
大違いなんですよ、われわれのようなロング・スリーパーにとっては。

われわれはたった30分長く寝るために四方八方さまざまな手段を講じる人種なのです。

で、調べてみたわけです。
車を預けて、そのまま飛行機に乗って、帰りもそのまま車で帰る方法を。

そしたら、なんと、一日500円とか600円で車って預けられるものなんですね……
いや、東京じゃ無理でしょうけど、新千歳価格はそうなんですよ。
(新千歳空港の駐車料金が思い切り値上げになるというニュースがちょうど飛び込んできましたが)

2泊3日で、1500円しか払わなくていいとか。
だって、JRだと往復3000円ですよ、ガソリン代考えても、明らかに車で行ったほうが安いじゃないですか。

いやぁ、まいった。
なぜ今までおれはこの方法を調べなかったのか。

「車を何日も預けると、きっとすごく高いに違いない」
この先入観が、わたしの目を曇らせていたのです。

これを読んでいるみなさんは、わたしを反面教師としてくださいね。
調べるのなんて、今の時代ほんの一瞬なんですから。
つまらない手間を惜しんで、重要なチャンスを逃すことのないように。

ただ、ひとつだけ誤算がありました。

ちょっと、家から千歳までの所要時間を甘く見ていましたね。

わりと余裕ぶっこいて

「軽く朝メシ食って、おみやげでも見るぐらいの時間はあるでしょー」

と思っていたんですけど、いざ着いてみるとギリギリもギリギリ、人生飛行機ギリギリワースト3に確実に入るレベルのギリギリっぷり。
まぁ何とか場内アナウンスで呼ばれたり、グランドスタッフに探し回られるような事態は避けられましたが、当然朝メシなど食えるはずもなく、おみやげももう選択の余地はなく「白い恋人」一択です。

保安検査場とりあえず通過して、検査場から搭乗口までの間にあるおみやげ屋で購入。
いや、今「選択の余地はなく」って自分で言いはしましたけど、「白い恋人」でいいんですよ。

「白い恋人」にいったい何の問題があるのでしょうか。

今回はたまたま偶然時間がなかった結果自動的に「白い恋人」になりましたけど、たとえ時間がいっぱいあったとしても、それでもわたしは「白い恋人」を選択したと思いますよ。

おみやげなんて、基本ベタなものに限ると思っています。
北海道から東京へ行くなら「白い恋人」ですし、東京から札幌へ来るなら「ごまたまご」でいいんです。奇をてらう必要なんてないんですよ。

「白い恋人なんて、北海道じゃなくても買えるじゃん」

そう思いますか?

いや、買えますよ、それは。買えるでしょう。買えます。

ただ、「買える」と「買う」ではぜんぜん意味あいが違うんですよ。

「じゃああなたは、マジで白い恋人をご自宅用で買って、食ったことがあるんですか??」

そうわたしは問いたい。

Yesと答えた人は、それは単にあなたが過剰に「白い恋人」が好きなだけでしょう。
食いませんよ、普通は。

「貰ったら食うけど、自分で買うかと言われると、まぁ買わないよな」

というものをプレゼントするのがいちばんいいと思うんですよね。

「食いたいかと言われたら食いたいけど、通常は食う機会がないものを食う機会を提供する」

おみやげの意義ってそういうことだと思うんですよね、わたしは。
そうでなければ、逆に思いっきり日常的に使うもので、ちょっと上のグレードのものをあげるとか。でも、それは遠隔地から来る人の役割じゃないと思うんですよね。

というか、そもそも今のご時世「その土地でないと買えないおみやげ」なんて存在するんですか?

しないでしょう、ほとんど。

仮に存在したとしても、そんな商品をマジで探しに行って調達できるのかというと、どう考えても現実的ではない。少なくとも新千歳空港で買える気はしない。

だから、極端な話どうでもいいんですよ。

その土地でしか買えないとか、●●限定とか、そういうのは。

少なくともおみやげ選びの第一義ではない。

大事なのは、その土地を「感じさせる」かどうかです。

主観であり、心の持ちようの話です。

「白い恋人」が、実際に全部北海道産の素材で作られているのか? きっと違うでしょう。
(調べてみると、結構道産素材使われてるっぽいです)

でも、「白い恋人」を貰うと「あぁ北海道のおみやげだなぁ」って思うじゃないですか。

われわれは仙台に行ったら牛タンを食うわけですよ。

あの牛タン、仙台で育った牛なんですか? ほぼ違いますよ。

でも、アレを食うことで「あぁ、仙台に来たんだなぁ」と感じることができる。
それで十分じゃないですか。

今回の目的地でいえば、名古屋のエビフライや台湾ラーメンもそうでしょう。
なんなんだ台湾って。どういうことだ。

だから、おみやげも同じです。

「あぁ、おれは北海道の人からおみやげを貰ったんだなぁ」

と感じてもらえることが大切なんですよ。
だったら「白い恋人」、これ以上のチョイスがありますか。

いや、「マルセイバターサンド」でもいいですよ。別にロイズだっていい。
わたしが言いたいのは、買う側の自己満足で、北海道らしさがどこにあるのか相手に伝わらないようなおみやげを選ぶぐらいなら、逆に思いきってベタな選択肢をとったほうがかえって相手様のご満足をいただける可能性が高いのではないか、ということです。

相手本意で考えないと。

おみやげ選びも、仕事も。

その意味で言うと、もっと大切なことは

「そのおみやげが、食ってうまいかどうか」

ですよ。うまくなければ意味がない。

いや、われわれが中高生なら、ネタとしてジンギスカンキャラメルを買っていくとか、そういう手もアリかもしれません。

でも、われわれはもういいおっさんです。
わりと死は近いんです。
残り少ない食事で、わざわざまずいものを食いに行く余裕はもうないんですよ。

その点「白い恋人」はどうでしょうか。

うまいでしょうが。
アレよりうまい北海道みやげって、実はそんなに存在しないとわたしは思いますよ。

ということで、自信たっぷりのおみやげ「白い恋人」を買って、わたしはサクッと飛行機に乗り込みます。

昔は本当に飛行機嫌いでしたし今も正直ぜんぜん好きじゃないですけど、さすがに慣れてはきましたね。
天気もよく、揺れも少なく、菊之丞師匠の火焔太鼓を聞きながら順調に飛行機は飛び、定刻よりも早く羽田に降り立ちます。

あ、そうだ。

おみやげはベタがいい、とは言いましたが、あくまで状況次第です。
たとえば高校生がみんな修学旅行でベタを選択すると、おみやげを貰う側は大量に八つ橋を食うことになったりするわけです。
そういう事態が予想される場合は、あえてベタを外してチョイスするのもいいかもしれません。

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